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2013年5月号掲載記事

大人の風疹流行が続いています

次の世代のために、ぜひ予防接種を!

大人の風疹、特に男性に流行が続いています

現在の成人は、1才時に予防接種を一度受けただけの世代の方がほとんどなので、免疫が落ちているために感染が広まっていると考えられます。

特に20代〜30代は、これまで風疹の流行を経験していないので、免疫が低下している可能性が高い世代です。

風疹に対する免疫があるかどうかは、採血検査でわかります。

風疹の症状

風疹は風疹ウイルスに感染することで起こります。

風疹ウイルスは、感染者のせきや会話したときに飛び散る微少の飛沫(ひまつ)(つば)に含まれています。

2〜3週間の潜伏期の後に熱が出て、耳の後ろや全身のリンパ節が腫れ、体に赤い発疹などの症状が出ます。 

子供の場合は比較的軽い症状で済むことが多いのですが、大人で感染すると関節痛などで1週間以上寝込むこともありますが、ほとんどの人は3日程度で自然に解熱回復し、中には微熱であったり、発疹があまりはっきりしない人もいます。

感染で胎児に障害

風疹の流行で問題になるのは、免疫を十分に持たない妊娠初期の女性が感染すると、生まれてくる赤ちゃんに白内障や難聴、心疾患、発育障害など「先天性風疹症候群(CRS)」と呼ばれる障害が生ずる可能性があることです。

CRSの危険は妊娠3〜4カ月ぐらいまでで、中期以降の人はまず心配ありません。

国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると、平成17〜23年には年間ほとんど0人だったCRSが昨年は5人を数え、今年も既に1人が報告されています。

風疹ワクチンを接種しましょう

風疹ワクチンの接種は感染予防に効果的です。

20〜30代でワクチン接種歴が不明の場合は、予防接種をお受けになることをお勧めします。

妊娠中は風疹のワクチン接種は受けられないので、妊娠初期でワクチン接種歴が不明の場合、家族など周囲の人がワクチンを接種してください。免疫のある人が風疹ワクチンを受けても副反応・過剰反応などの問題はないので、予防接種を受けたかどうか分からない場合でも、接種することには問題はありません。