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2010年12月号掲載記事

糖尿病を放置しないで!

区民検診の結果はいかがでしたか?

糖尿病の分類

糖尿病にはI型とII型が存在します。

I型は血糖を下げるホルモン、インスリンがほとんど分泌されない、小児の糖尿病などがこのタイプです。II型は、インスリン分泌はあるものの、肥満や過食によってインスリンの働きが落ちたり、分泌量が不足することによって発症します。

生活習慣が大きく関わっているのはII型糖尿病です。

糖尿病の診断基準

次の(1)〜(3)のいずれかと、(4)の両方を満たす場合は糖尿病と診断し、それ以外の場合は以下のフローチャートにしたがって診断を進めます。

(クリックすると大きな画像を表示します)

(1)空腹時血糖値126mg/dL以上

(2)75g糖負荷試験で2時間値200mg/dL以上

(3)随時血糖値200mg/dL以上、(4) HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)値が6.5%以上(JDS値で6.1%以上)

早期からの治療の必要性

糖尿病の初期は自覚症状がほとんどないため、検診で異常を指摘されても放置しがちです。

糖尿病が進行していくと、血糖値の高い状態と低い状態の差が大きくなり、徐々に全身の血管にダメージを与え、心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが高くなります。糖尿病の人は、糖尿病でない人の2〜3倍、心筋梗塞や脳梗塞を発症します。また脳梗塞になった人の約半数、心筋梗塞になった人の約3分の1に糖尿病がみられます。アメリカでは糖尿病患者の7割近くが、心筋梗塞や脳梗塞で亡くなります。欧米人に比べて低かった日本人の脳梗塞・心筋梗塞発病率は、生活習慣の変化によって、近年増加しています。

脳梗塞や心筋梗塞は突然起こり、致死的経過をとることも少なくありませんし、命は助かっても、麻痺などの後遺症のために、不自由な生活を強いられる場合もあります。

また、わが国では糖尿病性網膜症によって、年間約3千人が失明していることも見過ごせません。