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2010年5月号掲載記事

C型肝炎検診を受け肝臓がんを予防しましょう

C型肝炎ウイルスに感染すると、そのうち30〜40%は急性肝炎を起こすだけの一過性感染で治癒しますが、残りの60〜70%は慢性化してしまいます。

C型慢性肝炎のうち、自然治癒するのは約2%に過ぎず、15年の経過で40%が肝硬変に、さらに15年の経過で肝硬変の約半数が肝臓がんへと進展します。また5%は、30年の経過で、肝硬変を経ずに直接肝臓がんへ移行してしまいます。

すなわち、C型慢性肝炎の人の4人に1人が、将来肝臓がんになってしまうのです。

C型肝炎は治療できる病気です

C型慢性肝炎から肝臓がんに移行させないために、インターフェロン治療によって、早い段階で、肝炎ウイルスを体から排除する必要があります。

インターフェロン治療は、効果が低い、きつい、医療費が高い、などの理由で敬遠される患者さんも多いのですが、2000年代になってからインターフェロン治療は劇的に変化しています。

現在では、患者さんに合わせた種類、量のインターフェロンを使うことで、副作用はかなり軽減されています。またインターフェロンの効果を高める飲み薬も併用できるようになり、かつてはインターフェロンがほとんど効かなかったタイプのC型肝炎に対しても、6割の治癒率が得られるようなっています。

今や、C型肝炎は治癒できる病気なのです。

治療費の公費助成が受けられます

一昨年前より、インターフェロン治療に関して、医療費助成制度が始まっております。通常インターフェロン治療には、自己3割負担で、医療費が毎月6万円程度かかりますが、この医療費助成制度を用いると、原則、自己負担1万円(所得により2万円になる場合もあり)で治療が受けられるようになります。

肝臓がんにならないために肝炎ウイルス検査を受けましょう

肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、簡単な血液検査でわかります。

当院では、いつでも検査を受けることができます。予約等の必要はありません。

目黒区では、保健センターにおいて肝炎ウイルス(B型、C型)検査を無料で行っておりますし、6月からは40歳以上の方で、過去に肝炎ウイルス検査を受けた事がない方などを対象に、区内医療機関において無料で肝炎ウイルスの検査が受けられます。

いままで肝炎ウイルス検査を受けたことのない方や、過去に輸血等を受けた事がある方は、この機会に肝炎ウイルス検査を実施されることをお勧めします。

C型肝炎ウイルスの感染経路

C型肝炎のウイルスは、血液を介して感染します。

感染の契機としては、かつては輸血、予防接種の注射器の使いまわし、非加熱血液製剤の使用によるものでしたが、現在問題となっているのは、不衛生な施設でのピアスや入れ墨、そして覚せい剤の注射器による感染拡大です。