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2010年11月号掲載記事

肺の生活習慣病 COPD

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは

タバコを長年吸い続けることで、肺がんや心筋梗塞になりやすいといわれていますが、タバコと最も密接に関係するのが COPD (Chronic Obstructive Pulmonary Disease = 慢性閉塞性肺疾患)と呼ばれる病気です。

健康な人の気道内部は、呼吸に十分なだけの空間が保たれています。しかし、COPDになると、慢性的な炎症により気道の壁がかたく厚くなると同時に、気道内部に粘液がたまるため、気道が狭窄して慢性的な呼吸困難がおこります。(図)

COPDを治療しないとどうなるの?

COPDの初期の自覚症状には、咳やたんがしつこく続く、階段を上る時などに息切れがする、同年代の人と歩いていても遅れてしまう、などがあります。しかし、ありふれた症状であるため見過ごされることも少なくありません。

COPDを放っておくと、肺胞がどんどん破壊され、呼吸困難のために日常生活に支障が出てきたり、寝たきりの状態になることもあります。重症化した場合、陸上でおぼれるようなつらさが続くと表現される患者さんもいらっしゃいます。

COPD治療の基本は、吸入型気管支拡張薬

COPDは、慢性的に気管支がせまくなっているため、呼吸が制限される疾患。したがって薬物療法は、せまくなった気管支を拡張する気管支拡張薬が基本(長時間作用性抗コリン薬、β2刺激薬など)です。吸入型の気管支拡張薬は、飲み薬と比べて薬の効果が早くあらわれ、少ない分量で気管支に高濃度でゆきわたります。少ない分量で済むため、全身の副作用も軽減できます。

早期診断で、適切な治療を続けて、いきいきとした毎日を

COPDを放っておくと、呼吸機能の低下から、体を動かすことが困難になり、寝たきりの生活を送ることになってしまいますが、早期に診断し、適切な治療を継続することで、呼吸機能を維持し、今と変わらない生活を送ることができます。

現在タバコを吸われている方や、過去に喫煙されていた方、慢性的な呼吸器症状のある方は、一度ご相談ください。