医療記事一覧

医療情報

2007年3月号掲載記事

乳がんはまだまだ他人事?

今、日本人の25人に一人が乳がんにかかり、 1年間に約1万人が亡くなっています。

乳がんは壮年期女性(30〜64歳)のがん死亡原因のトップです。

ここ30年の乳がんの急激な増加は、食生活やライフスタイルの変化がエストロゲン(女性ホルモン)の分泌に影響しているためとみられています。

最もかかりやすいのは40代

「乳がんはまだ私には関係ない」と思っていませんか?

乳がんにかかる人は30代から40代にかけて急増し、ピークは40代後半ですが、「閉経後は大丈夫」「50歳過ぎたら乳がんにならない」ということもありません。

また、若いからといって油断はできません。 

家族や親戚に乳がんがいない、出産・授乳経験があるから大丈夫、ということもありません。

絶対に乳がんにならないといえる女性は一人もいません。

早期なら約90%が治癒します

残念ながら乳がんの効果的な予防法はありません。

近年骨粗しょう症の治療薬の一つであるラロキシフェンに乳がん発症抑制効果があることがわかり、注目を集めています。(下記コラム参照)

早期発見であれば約90%の人が治癒します。決して恐い病気ではありません。

早期発見のために、セルフチェックや検診が大切です。

ご相談ください。

骨粗しょう症薬に乳がん予防効果も

骨の代謝を促すエストロゲンは、不足すると骨粗しょう症になりやすいが、乳がん発生のリスクを高めるマイナスの効果もある。

骨粗しょう症の治療薬ラロキシフェン(商品名:エビスタ)を投与すると、骨に対してエストロゲンの働きを高め骨折抑制効果がある一方、乳腺へのエストロゲンの作用を抑制する効果がある。

エビスタを4年間のんだ人と、プラセボ(作用のない薬)をのんだ人を比較し、エビスタを4年間のんだ人は乳がんの発生頻度が62%低下したという報告(MORE試験)があり、米国では昨年末に乳がん抑制剤として承認申請となっている。