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2007年10月号掲載記事

ピロリ菌の新しい除菌療法が承認されました

ピロリ菌とはなにか?

ピロリ菌の正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」といいます。

「ヘリコ」とはギリシャ語でらせんという意味です。これはピロリ菌がらせんの形をしているためです。「ピロリ」というかわいい名前は、胃の出口(幽門)をさす「ピロルス」から取っています。

胃の中は強い酸性で細菌は住むことができないと思われていましたが、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素によって身の回りをアルカリ性にすることで胃酸を中和しています。

ピロリ菌は胃・十二指腸潰瘍の原因で胃がんの最大のリスクです。

ピロリ菌の感染は胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎の原因になり、さらに胃癌の発生に深くかかわっていることがわかりました。

ピロリを除菌すると、潰瘍の再発をほぼ抑制するとも言われています。

ピロリ菌感染のない人が胃がんになることはきわめて少ないことから、ピロリ菌除菌は胃がん予防効果が期待されています。

ピロリ感染は治療できます!

ピロリ菌の除菌はアモキシシリン、クラリスロマイシンという2種類の抗生物質とPPI(プロトンポンプ阻害剤)胃酸を抑える薬の計3種を1日2回、1週間服用します。

その後に再検査し、陰性なら除菌成功です。

ただし、ピロリ菌の除菌が必ずしも成功するとはいえません。近年では、クラリスロマイシンの耐性菌が増え、この除菌療法では、20%程度が除菌不成功になっています。

今回、この除菌療法が不成功だった患者さんに対して、クラリスロマイシンに代わって、ニトロメダゾールを使った除菌療法が承認されました。

この方法での除菌成功率は、治験成績で90%以上です。

これまでの除菌療法で治療できなかった方には朗報です!

ぜひ、もう一度、除菌をしたい、ピロリ菌感染が気になる方がいらっしゃいましたら、当院までご相談ください。