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2010年3月号掲載記事

花粉症

花粉症は、花粉によって引き起こされるアレルギー疾患です。ヒトは、外部から体内に花粉などの異物(抗原)が入ると、それに対する抗体を作り排除しようとします。この免疫反応がこの反応が過剰に起こった状態が、アレルギーです。花粉症では、くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった鼻炎症状や、目のかゆみ・涙目といった症状が見られ、日常生活にも大きな支障をきたします。

スギ花粉症は、現在日本人の4人に1人がかかっていると推定されます。特に最近では低年齢での発症が増えており、患者数は増加傾向にあります。(図1)

花粉症について

花粉症の原因となる植物は非常に多く、これまでに60種類以上が報告されています。代表的なものとして、スギやヒノキ、シラカンバ、カモガヤ、ブタクサなどが挙げられますが、それぞれ開花時期や地域によって飛散状況は異なります。スギやヒノキなどの樹木は春に、イネ科(カモガヤ、イネなど)は初夏から秋にかけて、キク科(ブタクサ、ヨモギなど)は夏から秋に多く飛散します。(図2)

花粉症の予防と対策

花粉症を予防するためには、花粉を体内に取り込まないことが大切です。吸い込む花粉の量が少なければ発症をおさえることができますし、発症しても症状が軽くなります。

花粉シーズンには、以下の事を心がけましょう。

<生活の心得>

・十分な睡眠をとること

・風邪をひかないこと

・お酒を飲みすぎないこと

・タバコは控えること

※規則正しい生活を送り、正常な免疫機能を保つことが重要です!

<花粉を避けるために>

・できるだけ外出を控える。

・外出する時はマスクや眼鏡、帽子などを着用し、花粉が目や鼻に付かないようにする。

・家に入る前には、服や髪に付いた花粉を払い落とす。

・うがい、手洗い、洗顔をする。

・窓の開け閉めの時間を少なくする。

・洗濯物は屋内に干す     etc.   

花粉症の治療

花粉症の治療には、(1)薬物療法 (2)手術療法 (3)特異的免疫療法(減感作療法)があります。

(1)薬物療法

抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、ステロイドといった様々な薬があり、内服薬だけでなく点鼻薬・点眼薬が時期や症状に応じて使い分けられています。特に多く使用されているのが内服の抗ヒスタミン薬で、鼻症状に対し効果が強く、以前から問題となっている眠気も出にくいお薬が増えています。ただし効果や眠気には個人差がありますので、当院では、患者さんに合った治療が行えるよう、多くのお薬をそろえております。

花粉が飛び始める少し前から治療を開始する『初期治療』が推奨されており、症状の軽減や治療期間の短縮といった効果が期待できます。花粉カレンダーを参考に、早めの治療を心がけましょう。

(2)手術療法

鼻閉症状が強い場合、薬物療法の効果が不十分な場合などに行われます。電気凝固、凍結手術、レーザー手術などがあり、中には日帰りで行えるものもあります。

当院では行なっておりませんので、ご希望の方は耳鼻科にご相談ください。

(3)特異的免疫療法(減感作療法)

スギ抗原のエキスを体内に入れ、徐々に身体を慣らし、体質改善をしていくものです。花粉症を完治できる可能性のある唯一の方法で、約7割の人に効果があると言われています。しかし皮下注射が中心で、通院回数の多さなど、患者さんの負担が大きいことがネックとなっています。そこで研究が進められているのが『舌下減感作療法』で、花粉エキスを含ませたパンなどを舌下に数分置く治療法です。この方法が実用化すれば、より利用しやすくなるでしょう。

減感作療法は当院では行なっておりませんので、ご希望の方は大学病院等のアレルギー専門医にご相談くださ

※1回の注射で長期間作用する副腎皮質ホルモンの注射治療は、副作用が強く、糖尿病や骨粗しょう症を誘発することが報告されているので、お勧めできません。

花粉症対策に「ハナクリーンS」

花粉症は鼻の粘膜に花粉が付着することで起こります。のどをうがいするように、鼻の中に付着した花粉を洗い流すことで、花粉症の症状を軽減することができます。鼻洗浄で、鼻やのどの粘膜に付着した風邪の細菌やインフルエンザのウイルスも洗い流すことができます。ハナクリーンSは持ち運びに便利なコンパクトサイズで、どこでも簡単に鼻の洗浄をすることができます。

ハナクリーンSは当院受付にて斡旋していますので、お声かけください。

詳細は、http://www.himonyadayori.com/explorer_CCC.phpをご参照ください。