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2011年8月号掲載記事

レントゲン検査と放射線被曝について

レントゲン検査による放射線被曝に関するご質問が増えています。

胸部のレントゲン検査での被曝量は0.05ミリシーベルト、これは飛行機で東京ニューヨークを往復する間に浴びる、宇宙から降ってくる自然放射線被曝量よりも低いので、胸のX線検査は頻繁に撮らない限り、それほど心配ないとおもいます。

胃のバリウム検査は、レントゲンで透視しながら10枚程度撮影するので、胸部レントゲンの10〜20倍程度の被曝量となり、約1ミリシーベルトとやや多く、年2回以上は受けないほうがいいとおもっています。

CT検査は部位や撮影方法によって差がありますが、胸部レントゲンや胃の検査よりも格段に被曝量が多くなります。症状があって必要な場合の検査は別として、検診目的でのCT検査はメリットや頻度をよく考えて受診すべきです。たとえば無症状で喫煙していない40代の女性が、肺がん検診のために胸部CTを受けることはお勧めできません。

病院内に放射能がもれていて被曝しないか?というご質問をいただきましたが、院内放射線漏洩はほとんどないといえます。放射能というのは、放射性物質の放射線を出す能力のことですが、レントゲンの機械の中にウランやセシウムのような放射性物質は入っていません。レントゲン撮影機は、撮影するときだけ高い電圧をかけて放射線を発生しており、放射性物質のように常時放射線が出ているわけではないのです。また撮影室は鉛で遮蔽されているので、撮影時の放射線もほとんど漏れません。

レントゲン検査を受けたあと、孫をだっこしても被曝させないか?これも、放射線に関する大きな誤解です。放射線を浴びた人が周りに放射線をふりまくことはありません。自然に放射線を出すのは放射性物質のみで、人にいくら放射線をあてても、身体がウランやセシウムになってしまうことはないのです。

原発で被曝した人からの2次被曝が心配されるのは、体に放射性物質が付着しているからです。しかし、これも着替えて洗い流せば、問題ありません。福島から非難して来た方に放射能検査をするのは、全くナンセンスである所以です。

レントゲン検査は放射性物質を使っているわけでないので、検査を受けた人が、周りの人を被曝させることはありません。