医療記事一覧

医療情報

2011年5月号掲載記事

認知症

もの忘れはなぜ起きる?

脳の神経細胞の減少や機能の低下によっておこります

年齢を重ねるうちに「もの忘れが増えてきたな」と思う方は多いのではないでしょうか。これは脳の神経細胞の減少という免れることのできない老化現象の影響で、誰にでもおこる「もの忘れ」です。

このような、通常の老化による減少より早く神経細胞が消失してしまう脳の病気、これが『認知症』です。

加齢による“もの忘れ”、アルツハイマー型認知症の“もの忘れ”

記憶の流れは、毎日のさまざまな出来事で構成されています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルツハイマー型認知症ではこんな症状が見られます

中核症状

  • 記憶障害
  • 判断力低下
  • 話している言葉が理解できない
  • 時間や場所がわからない

周辺症状

  • 一人で歩き回る
  • 怒りっぽくなる
  • 不安・幻覚
  • 意欲が無くなる

アルツハイマー型認知症の治療

アルツハイマー型認知症は、記憶力や判断力の低下により日常生活にさまざまな問題が起きてくる病気です。現在、アルツハイマー型認知症を元の状態に戻す治療法はあり ません。ですからアルツハイマー型認知症の治療はご本人が快適に暮らせるよう、 またご家族や介護者の負担を軽くすることが治療の目的となります。

主な治療には、ご本人の感情や興味を刺激し心の安全をはかる『非薬物療法』と、アルツハイマー型認知症のお薬による『薬物療法』があります。

アルツハイマー型認知症の危険因子

アルツハイマー型認知症の危険因子は、遺伝的な因子と環境的な因子に分けることができますが、 環境的因子の影響の方が発症に大きく関わっていると考えられています。健康な高齢者を追跡して認知症を発症した人と発症しなかった人の違いを検討した疫学的研究から環境的因子が次第に明らかとなってきました。

食習慣

〜摂取するとよいもの〜

魚に含まれる脂肪酸であるEPAやDHAがよい
野菜果物
ビタミンE、ビタミンC、ベーターカロテンがよい
ワイン
赤ワインに含まれるポリフェノールがよい

生活習慣

有酸素運動の強度と頻度
普通の歩行速度をこえる運動強度で週3回以上。
有酸素運動は、脳の血流を増し、高血圧やコレステロールのレベルを下げる効果がある
知的な生活習慣
文章を読む、知的なゲームをするなど
対人的な接触頻度
週1回以上、同居以外の親族や友人に会う
いわば閉じこもりの人は、発症の危険度が8倍も高い

認知症を疑うチェックリスト

ご本人の現在の日常生活と1年前の状態を比べてください。

総合得点が24点以下の場合、認知症の疑いがありますので、かかりつけ医に相談してください。

家族のためのチェックリストです変わらない 2点多少悪くなった 1点とても悪くなった 0点
曜日や月がわかりますか
前と同じように道がわかりますか
住所・電話番号を覚えていますか
物がいつもしまわれている場所を覚えていますか
物がいつもの場所にないとき、見つけることができますか
電気製品(洗濯機やテレビのリモコンなど)を使いこなすことができますか
自分で状況にあった着衣ができますか
買い物でお金を払うことができますか
身体の具合が悪くなったわけではないのに、行動が不活発になりましたか
本の内容やテレビの筋がわかりますか
手紙を書いていますか
数日前の会話を自分から思い出しますか
数日前の会話の内容を思い出させようとしても難しいですか
会話の途中で言いたいことを忘れることがありますか
会話の途中で適切な単語がでてこないことがありますか
よく知っている人の顔がわかりますか
よく知っている人の名前を覚えていますか
その人たちがどこに住んでいるか、仕事などがわかりますか
最近のことを忘れっぽくなりましたか