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2006年4月号掲載記事

EPAで血液さらさらに

動脈硬化性疾患の治療薬として、EPA製剤が注目されています。編集部では「血液さらさらとEPA」について、調査してみました。

あなたの血液はサラサラですか?

血液は全身へ酸素や栄養素を届けるという大切な役目があります。毎日健康に暮らせるのは、血液がサラサラの状態で体内を流れているおかげです。

ところが、偏った食事や運動不足による体重オーバー・タバコ・ストレス・・・これらは高血圧症や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を招くことがあり、やがて動脈硬化症に進み・・・ついには、命に関わる心臓病や脳梗塞を引き起こしかねません。これらの患者さんは血液の流れが悪く、ドロドロ血の状態となっています。

ドロドロ血とは?

血液中の赤血球はさまざまに形を変えながら、からだ全体に酸素を送り届けています。ドロドロ血とは、赤血球が硬くなったり、血液が固まりやすくなった状態を言います。ドロドロ血の状態では血流が滞り、やがて心臓や脳の血管が詰まるなど、命に関わる病気になりかねません。

このドロドロ血をサラサラな血液にするのがEPA(エイコサペンタエン酸)なのです。

EPAって何?

世界中の多くの国々で、心筋梗塞や脳梗塞は死亡原因の上位を占めています。ところが北極圏に住むイヌイットは、肉食中心なのに心筋梗塞になる率が極端に低いことが知られていました。

デンマークの学者達はイヌイットが魚やアザラシの肉を主食にしているためではないかと考え、血液を詳しく調べたところ、魚やアザラシの脂肪に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)には、心筋梗塞や脳梗塞を防ぐ働きがあることが発見されました。

EPAとは魚介類に多く含まれる脂肪酸の一種です。(EPAは青魚にたくさん含まれている他、昆布やワカメ・海苔などの海産物にも含まれています。)

EPAを長期間とり続けると、血液成分(赤血球・血小板)やからだ全体の細胞にとり込まれます。その結果、血液の流れをよくし、赤血球の働きをバランスよく整えサラサラ血液にして、血管をしなやかに保つほか、高脂血症を改善する働きをもっていることが世界中の研究者により確認されました。

日本人は食生活の欧米化によって、食事によるEPAの摂取量が減り、動脈硬化性疾患の死亡率が増加しています。(Fig.1)

EPAはどのくらいとればいいのか?

アメリカの健康団体では魚中心の食事を週5食以上とることを勧めています。日本人で魚をよく食べる場合は1日約2gEPAをとっている計算になります。

近年の精製技術の進歩により高純度のEPA製剤*が医療用医薬品として製品化され、高脂血症や四肢の動脈硬化症の患者に対して、症状緩和の目的で投与されています。

医療用医薬品EPA*の標準投与量は1日あたり1.8g(1,800mg)とされています。

*医薬品EPAは一般の薬局では買えません。服用には、医師の診断と処方が必要です。

EPA製剤は当院でも処方しています

EPAは食事から摂ることが理想ですが、現代の食生活で、毎日2gのEPA摂取は困難です。

EPAを含有するサプリメント類もたくさん販売されていますが、品質、純度にばらつきがあり、価格も高いといった問題があります。

当院では、高脂血症、閉塞性動脈硬化症の患者さんには、医薬品EPA製剤をお勧めしています。

参考までに、編集部では医薬品EPA(エパデール:持田製薬)と、サプリメントのEPAの純度、価格を調べてみたところ純度の面だけでなく、価格の面でも、医薬品のほうが優れていることがわかりました。(Fig.2)