新型コロナワクチンに対する本音当院はファイザー社「コミナティ」を採用していますが・・・
10月から65歳以上の高齢者(60~64歳の基礎疾患のある方も)を対象とした、新型コロナワクチン任意接種の公費助成(目黒区は自己負担2,500円)が開始されています。対象年齢以外の方は、全額自己負担(当院では税込16,500円)での接種です。
現在国内で承認されているワクチンは5種類。従来から接種されているファイザー社とモデルナ社のメッセンジャーRNAワクチンに加え、昨年末に第一三共から初の国産ワクチンが登場し、今シーズンから武田薬品の不活化ワクチン、Meiji Seikaファルマのレプリコンワクチンと種類が増えましたが、当院では今のところファイザー社「コミナティ」のみを採用しています。その理由は、まず接種1回分ずつの針付きプレフィルシリンジであることです。注射器にワクチンを充填する手間が省け、シリンジに「コミナティ」と印字されているため、誤接種が防げるからです。コロナワクチン以外に、インフルエンザや肺炎球菌、帯状疱疹など複数のワクチンを扱っているので、この印字は安心です。現在プレフィルシリンジの新型コロナワクチンはファイザー社「コミナティ」だけです。
また接種後の痛みが少なかったということで、ファイザー社「コミナティ」をご希望される方も多いのも、採用の理由です。
国益のことを考えると国内メーカーを応援したいところですが、接種症例数のまだ少ない国産ワクチンを扱うのは不安です。新薬では治験の時には現れていなかった有害事象が、上市後に症例数を重ねてから報告されることはよくあることです。すでに世界中で莫大な接種回数を重ねているファイザー社「コミナティ」は、効果だけでなく悪い点についてもデータがたくさんあります。これは「コミナティ」がいちばん分かっているワクチンということで、国産の新製品よりもが効果が高く、安全ということでありません。
コロナワクチンは本当に効くの?
「ワクチンが効く」という評価は「接種した集団と、接種していない集団を比較して、接種した集団の方がその病気に罹る率が低い」ということが基本になります。「私はワクチン接種したけど、罹ってしまったので、ワクチンは効かない」というのは、あなたには効かなかった、ということであって、ワクチンに効果がないということにはなりません。感染症が大流行するときには、接種しなかった人だけではなく、接種した人からも多くの感染者が出ますので、どうしてもワクチンは効かないというイメージができてしまいます。そして接種したけど罹ったはわかりますが、罹らなかったのは接種のおかげ、かどうかはわかりませんし。
厚生労働省から、パンデミックの時期に新型コロナワクチンを2回接種した人は、未接種の人に比べてコロナ感染が少ないというデータが報告されましたが、米国からは、3回接種以降、接種回数が増えると、逆に感染率も高くなるという報告もありました。諸説ありますが、我が国においてコロナワクチンの集団接種を続けたことによって感染拡大が抑制されたという結論は、残念ながら得られていません。多くの自治体が行った「大切な人を守るために、ワクチンを接種しましょう」のキャンペーンは、間違いでした。
一方製薬会社の有効性データは、「ワクチンを接種すると、当該疾患に対する抗体価が上がった、すなわち接種で免疫がつく」というものです。治験は、健康なボランティアを集めて行われるため、接種すれば誰もがみんな必ず抗体価が上がることを保証するものではありません。頭のいい子を集めて授業をして、テストの点数が上がったからといって、同じ授業を受ければどの子も成績が良くなる、わけではない。
また、抗体価が上がれば完全に感染が防げるわけではありません。現在の新型コロナワクチン接種に関して、厚生労働省は罹っても軽く済む「重症化予防」にシフトしています。厚生労働省のホームページには、国内とアメリカのデータから「ワクチン接種で、新型コロナウイルス感染による入院を40〜60%抑制」とあります。
各種報告から、2021年2月に始まった高齢者に対する初回接種(1回目、2回目)は「重症化予防」に効果があったが、それ以降は、ワクチンの効果よりもウイルス自体が弱毒化したために重症化する人が少なくなった、と私は考えています。
本当に安全なの?
2021年2月の接種開始から2024年4月までの間に、我が国において新型コロナワクチンは4億3619万回接種され、接種後の死亡は2,024名報告されています。これは接種が原因で亡くなった人数ではなく、接種直後から数日、長い方では数十日後に亡くなって、ワクチン接種が原因で死亡したことが否定できない、と届け出があった人数です。そのうち接種が原因であったと認定されたのは2件で、その他は因果関係は不明とされています。これらの疑念に対して、「ワクチンは安全」と国民に接種を強く呼びかけていた当時の担当大臣が、一転「自分は運び屋に過ぎない」と説明責任逃れをして、不安を煽ってしまいましたが、冷静に考えると、人は常に亡くなり続けているので、例えば「米を食べた後に亡くなった人数」なんて数字を想像してみれば、もっと桁違いに多くなるはずです。接種後に亡くなったと、接種したから亡くなった、は全く違います。
死亡だけでなく、同時期の接種後の有害事象として心膜炎、心筋炎が3万7090件報告されていて、こちらはワクチンの作用機序から因果関係が認められていますが、新型コロナウイルス感染でも、ワクチン接種で起こる率を上回る、心膜炎。心筋炎が起こっています。
新型コロナワクチンが安全か?と言われれば、100%安全とはいえません、と答えるしかありません。
私は筋力維持と骨粗しょう症予防のために、毎日15分から30分、家から出て散歩すること推奨していますが、散歩中に交通事故に遭うかもしれませんし、転倒して骨折する方も少なくないし、紫外線で皮膚がんのリスクも上がります。もちろん、お散歩した後に死亡する方もたくさんいます。でも屋外散歩はお勧めしない方がいい、とはおもいません。
で、接種した方がいいの?
新型コロナワクチン接種を受けるかどうかは、期待できる利益(感染予防、重症化予防効果)に対して、投資(費用、受診時間や手間など)とリスク(痛みや発熱の副反応、有害事象の可能性)は適切か?を考えて、判断すべきです。
接種が推奨される重症化リスクの高い基礎疾患と肥満レベル
以下の病気や状態の方で、通院/入院している方
- 慢性の呼吸器の病気
- 慢性の心臓病(高血圧を含む。)
- 慢性の腎臓病
- 慢性の肝臓病(肝硬変等)
- インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病
- 血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く。)
- 免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む。)
- ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
- 免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
- 神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)
- 染色体異常
- 重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態)
- 睡眠時無呼吸症候群
- 重い精神疾患(精神疾患の治療のため入院している、精神障害者保健福祉手帳を所持している、又は自立支援医療(精神通院医療)で「重度かつ継続」に該当する場合)や知的障害(療育手帳を所持している場合)
基準(BMI 30以上)を満たす肥満の方
- BMI30の目安:身長170cmで体重約87kg、身長160cmで体重約77kg
で、接種した方がいいの?について、私は、65歳以上(60~64歳の基礎疾患のある方)の公費補助の対象者(自己負担2,500円)は、もし感染し重症化した時に後悔しないために接種しておく、という意義はあるとおもっています。補助のない世代では、免疫系の病気や呼吸疾患などがなく、健康であれば、今のところ新型コロナウイルスは極めて弱毒化していて、罹っても重症化する可能性は低いので、うーん、16,500円あれば焼き鳥屋さんに5回行けるなあ…。