ひもんやだよりWEB版
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ひもんや内科消化器科診療所
〒152-003 目黒区碑文谷2丁目6-24
TEL.03‐5704‐0810
2023年08月号掲載
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私も毎日実施している
水素ガス吸入療法をお勧めします

水素ガス吸入療法とは?

水素ガス吸入療法は、過剰な活性酸素による「酸化ストレス」を水素によって軽減する効果を期待する医療です。

細胞内のミトコンドリアでは酸素を代謝してエネルギーを得ると同時に、活性酸素が発生してます。活性酸素はがん細胞や感染細胞を除去する免疫として働きますが、過剰な活性は健康な細胞を傷つけ、がんや動脈硬化性疾患、そして老化の原因になります。水素は「酸化ストレス」の原因になる過剰な活性酸素と反応して無毒な水に変える、またこの無毒化の化学反応を促進する酵素の生成系を活性化します。

水素ガスを直接吸入して、空気と一緒に体内に水素ガスを取り入れると、水素ガスは、気道表面からの拡散だけでなく、肺から血流に乗って全身に行き渡ります。

「Dr.久保の水素ガス吸入療法のススメ2」(ビオ・マガジン社)では、著者の自験例の数値として毎分5.14mlの水素発生器、10.5mlの水素発生器で60分水素ガス吸入した後の静脈血水素濃度が、それぞれ0.33ppb/w、1.62ppb/wと記載されています。「吸入によって動脈血に入った水素は全身を巡り抹消静脈まで到達し、吸入する単位時間当たりの水素量が多いほど、残存している水素濃度が高い」ことを示しています。

水素吸入療法の有効性を示す研究

2007年日本医科大学は「水素ガスは培養細胞の悪玉活性酸素を選択的に減らすことが確認され、ラットを使って脳虚血からという再灌流させた実験では、水素ガスを吸入させたラットの脳損傷の範囲が小さかった」という論文をNature Medicineという雑誌に発表しました。虚血状態から血液が再灌流すると、組織の細胞内では活性酸素と炎症性のサイトカインが大量に発生し、組織を攻撃しダメージを与えますが、水素がそのダメージを軽減することが動物の生体内でも確認できた、という素晴らしい報告です。

2016年慶応大学が高度先進医療として水素吸入療法を申請し、心停止後症候群による脳へのダメージに対する水素吸入療法の有効性を検証し、水素療法は再び脚光を浴びました。国内 15 施設が参加した多施設共同二重盲検無作為化比較試験で、病院外で心停止になり心肺蘇生で心臓の拍動は回復したものの意識が回復しない状態で 「2%水素添加酸素吸入(水素吸入療法)を行うと、死亡率が下がり、意識が回復して後遺症を残さずに社会復帰する可能性を高める」ことを示しました。90 日後の生存率は、従来の治療で 61%なのに対し、水素吸入療法により 85%に上昇、また、後遺症なく回復した人の割合も 21%から46%に上昇することが統計学的に確かめられ、水素が原因と考えられるような副作用は観察されませんでした。

2019年に中国において「水素ガス投与が新型コロナウイルス肺炎患者の重症化予防に効果がある」という論文が発表されました。新型コロナウイルス感染の重症化は、ウイルスの増殖によるダメージだけではなく、生体の過剰な免疫反応によるサイトカインストームも原因であることがわかりましたが、水素吸入によってこの免疫の暴走を抑える効果があるということが示唆されました。

慶応大学が2020年に発表した、水素ガス吸引後のブタの頸動脈血流の水素を測定した実験により、「水素が血流に入って脳に到達する」ことが確かめられており、水素の脳神経系への効果が示唆されました。

水素吸入療法はどんな病気に効くの?

特定の疾患に対する水素吸入の効果をお示ししましたが、私の目指す水素吸入療法は特定の疾患の治療を目的としたものではなく、酸化ストレス由来のさまざまな健康トラブルを抑える効果を期待するものです。

細胞内のミトコンドリアから大量の活性酸素やサイトカインが出ることで、生体は酸化ストレス状態になります。

「急性炎症」は怪我や風邪などで入ってきた細菌やウイルスを排除するための生体の免疫反応ですが、過剰な免疫反応、すなわち酸化ストレスが生体自身も傷つけてしまいますが、新型コロナ肺炎患者に効果がみとめられたことからわかるように、水素がそのダメージを軽減してくれる可能性があります。

関節リウマチなどの膠原病やアトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患は、「慢性炎症」の代表例ですが、動脈硬化やそれに由来する高血圧や腎臓病、糖尿病などの生活習慣病も、「慢性炎症」による病気であることがわかっています。

高カロリー摂取や運動不足などによって成熟した脂肪細胞は肥大化します。通常の脂肪細胞は、生体のエネルギー貯蔵バランスを保つ働きをしていますが、肥大化するとこの働きが衰えます。肥大脂肪細胞を排除しようとしてリンパ球が集まってきて免疫反応が起こりますが、過剰な攻撃=酸化ストレスが慢性的に起こり、過剰に発生した免疫物質は全身を巡り正常な細胞も攻撃してしまいます。肥大脂肪細胞の沈着で血管壁に傷がつくと、傷を修復しようとする免疫反応がおきますが、その反応が過剰に起こると動脈硬化が進み、傷の修復できたかさぶたが剥がれて血栓になり、脳梗塞や心筋梗塞の原因になります。こうした「慢性炎症」によるダメージを、水素が軽減してくれる可能性があります。前述の日本医科大学や慶応大学の水素による脳損傷の軽減もこのことを示唆しています。

過剰免疫による細胞へのダメージは発がんの原因になります。水素の抗酸化作用が過剰免疫を軽減することで、発がん抑制の効果は期待できます。また放射線治療や抗がん剤によるがん治療は、がん細胞を攻撃する一方正常細胞も攻撃するため、生体は酸化ストレスを生じます。すでに出来てしまったがんを水素だけで治すことはできませんが、放射線療法や化学療法に水素療法併用することで、酸化ストレスに由来する治療の副作用が軽減され、副作用で中止せざる得なかった治療が行えることにより、がんの治癒や縮小で生存期間の延長できる可能性があり、水素吸入併用のがん治療に関してはたくさんの症例報告があります。

年をとると死んでいく細胞が増えるので、これが生体から異物と認識されて慢性炎症の原因になります。そのため加齢により生活習慣病のリスクが高まる、発がんのリスクが上がる、そして皮膚や頭髪といった外から見える部分にもダメージが及びます。水素の抗酸化作用は、そんな老化の悪影響を軽減してくれる可能性があります。

吸入された水素は脳血流、脳神経細胞にも届き、抗酸化作用を発揮してくれるので、酸化ストレスに由来するうつや不眠、認知症への効果も期待できます。

激しい運動後や、心身の疲労も酸化ストレスの原因になりますので、水素吸入を愛好しているスポーツ選手も多くいらっしゃいます。水素は身体に残らないので、ドーピングにはなりません。

私の水素吸入療法

私は毎分500mlの中型の水素ガス発生装置と、毎分100mlの小型の水素ガス発生装置を使っています。

500mlの方は職場に置き、診療の合間や事務仕事、この原稿を書いている今も水素を吸入しています。100mlの小型の方は自室のベッドサイドに置いて就眠中に吸入しています。また学会等で移動する際にはこの小型器を持参し、新幹線の車内のコンセントにつないで吸入したり、宿泊先での仕事や睡眠時にも使っています。今のところ「どのくらいの水素吸入量が健康に良いかという基準はない」のですが、水素という気体の特性、水素吸入療法の作用機序を考えると、水素吸入療法のポイントは「単位時間の水素発生量」×「吸入時間」を可能な限り最大化すること、に尽きるとおもっています。

機器で発生した水素は鼻カニューレと呼ばれる細いチューブで鼻孔に誘導され、空気と一緒に吸い込むのですが、人工呼吸器のように呼吸とシンクロしていないので、息を鼻から吐くと鼻腔内に滞在している水素を呼気で追い出しています。発生した水素をできるだけ有効に吸入するためには、できるだけ「強く長く鼻から吸気し、呼気は口からゆっくり吐く」ことを意識しています。

具体的な効果については、ご報告できるようなものはありませんが、コロナ禍での診療を続けながら感染を免れていた(らしい)こと、以前は時々睡眠薬を服用することがあったのですが、水素吸入を始めてからは、眠剤を飲むことがほとんどなくなりました。入眠前に読書していてもすぐ眠くなってしまい、読書量が減ってしまったことは少し残念です。仲間内では慢性の腰痛が良くなった、ゴルフ翌日の筋肉痛が軽減する、などの効果を聞いています。

水素療法には副作用がないとされており、私も不具合は感じていません。しいて言うと尿の量が増えた感じがあり、多くの方もそうおっしゃっています。活性酸素が水素で無毒化されて発生した水分で尿量が増えているのではないか、と解釈しています。

酸化ストレスは様々な要因で常に体内で発生しており、意識しやすいのはメンタルストレスです。忙しくてイライラしたり、仕事がうまくいかなくて落ち込んだり、人間関係で嫌なおもいをしたときには、意識して水素を深く鼻から吸引し、大きく口から息を吐き、水素が全身の細胞のミトコンドリアで過剰発生した活性酸素を退治してくれているイメージを頭の中に描いています。

水素発生機器選定のポイント

水素発生装置は、水を電気分解して2H2O→2H2+O2 として水素ガスを得る「電気分解方法」がほとんどですが、「機器のスペック表示にルールがない」まま、たくさんの機種が販売され、価格も1万円未満から数百万円と大きな幅があり、水素吸入療法がいかがわしくみられる原因にもなっているとおもいます。

機器の宣伝文句を見ると99%以上の濃度の水素の発生を謳っているものと、水素濃度67%としているものがあり、未記載のものはほとんどが67%です。実は「水素濃度は99%か67%の2つ」しかありません。水を電気分解すると2:1の比率で水素と酸素が発生するため、水素だけを分離して吸入するタイプは99%、水素と酸素の混合ガスのまま放出している機器は水素濃度67%となります。健常人が高濃度の酸素を吸入することには害もあるため、酸素と混合状態の67%水素よりも99%のほうが望ましいですが、水素と酸素の分離にも装置が必要になるため、99%の水素発生装置の方が高額で、大型になります。水素のみ、酸素のみ、混合ガスを選択できる機種もあります。

99%から更に99.999・・・と発生水素の純度を強調している機器もありますが、「発生水素濃度は水素療法の効果には影響なし」です。この数字はあくまでも発生直後の水素の濃度で、吸入する時点の水素の濃度ではありません。我々が水素を吸入するときは大気と一緒に吸い込むので、「吸入する水素の濃度は水素の発生量が多いほど高く」なります。どんなに純度の高い水素でも、発生量が少なければ大気に対する水素の比率が小さくなってしまうからです。水素ガス発生量毎分数ミリリットルのポケットタイプのものから、毎分500ミリリットルを越える大型機種までありますが、「水素の発生量は機種の大きさ(電極の大きさ)、消費電力、そして価格に比例」します。

水素をできるだけ多く体内に取り入れ、全身の細胞にいきわたらせるには、発生量の多い機種を選ぶに越したことはありませんが、水素発生量毎分500ミリリットルを超える業務用の機種だと150万円以上しますし、小型冷蔵庫ぐらいの大きさがあります。毎分200ミリリットル程度の機種で70万円ぐらい、掃除機の本体ぐらいの大きさなので、屋内移動もできます。毎分70ミリリットル前後の機器は50万円ぐらいで、モバイル使用ができる機種もありますが、電気分解には大量の電力が必要なのでバッテリー駆動でも長時間の使用はできません。それ以下の機種になると、毎分数ミリリットルのポケットサイズのものは数万円からありますし、水素発生量が毎分10ミリリットル台のものは10万円台で売られています。15万円で、220ミリリットルの水素量と宣伝している機種がありましたが、よく読むと連続20分運転で220ミリリットル、毎分では12ミリリットルでしたので、装置を選ぶ際には「水素発生量は毎分何ミリリットルか、を必ずチェック」してください。

また「電気分解に使用する水がランニングコストや機器のメンテナンス費用に影響」します。ほとんどの機種が「専用の蒸留水(純水)の使用を指定」していますが、水素の発生量の大きい機種ほど水の消費量も多くなりコストがかかります。水道水は電極に負荷がかかり、機器の寿命を縮めますので、必ず専用水を使うことをお勧めします。電極交換が水素発生器のメンテナンスで一番コストがかかります。機器にフィルターを内蔵していて水道水が使える機種もありますが、フィルターの交換コストを考えなくてはなりません。長期に使う機器なので、価格が安くても、専用水の安定供給やメンテナンスなどのアフターケアがない売り切りだと結局高くつきますので、「メーカーの保守体制のチェック」も重要です。

水素吸入療法をご希望される方、当院推奨機種の紹介をご希望される方は、ぜひご相談ください。

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