2023年03月号掲載
!
毎日温泉に入る人はうつになりにくい別府で1万人調査
温泉に毎日入るとうつになりにくい――。九州大学の研究チームがそうした傾向を確かめ、研究結果として発表した。「温泉入浴の習慣が気分の落ち込みの改善をもたらし、高齢者のうつ発症の予防につながる可能性がある」としている。
九州大学病院別府病院(大分県)の堀内孝彦教授、前田豊樹准教授、山崎聡講師らが、温泉地として知られる大分県別府市の65歳以上を対象に温泉の利用頻度や病歴などを尋ねるアンケートを実施。約1万人から回答を得た。
解析した1万429人のうち、うつの病歴があると回答したのは219人。うつの病歴がない人のうち、温泉入浴が1カ月に1回未満と答えたのは27・8%だった一方、うつの病歴がある人では37・4%だった。うつの病歴がある人は、ない人に比べて、日常的に温泉に入る習慣が少ない傾向が確かめられたという。
さらに、いくつかの要因からうつを発症するリスクを予測する手法で解析したところ、毎日温泉に入る人は入らない人らに比べて4割程度、うつを発症しにくい傾向があることを確かめたとしている。
海外の研究では、就寝前の入浴が寝つきの良さにつながっているとの報告もある。 研究チームは就寝前の温泉入浴が睡眠の質の改善につながり、高齢者のうつの少なさにつながっている可能性があるとみている。
本研究論文は英国の学術誌「Complementary Therapies in Medicine」に発表された。
ページ先頭へ