ひもんやだよりWEB版
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ひもんや内科消化器科診療所
〒152-003 目黒区碑文谷2丁目6-24
TEL.03‐5704‐0810
2022年09月号掲載
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がんサバイバーに筋肉は必須!

がん治療の成績が向上していることもあり、当院でもがん治療後や、長期にわたってがん治療を継続しながら通院されているがん患者さんが増えています。

近年、筋肉量ががん治療の成績に影響を及ぼしていることがわかってきました。 たとえば、筋肉量や筋力が減っているがん患者さんは、手術後の合併症が増えて、生存期間が短くなること。 筋肉量が減っている患者さんは、抗がん剤治療で副作用が強くでることが多く、治療成績が悪くなること。 つまり、どんな治療を受けるとしても、筋肉量を維持あるいは増やすことが、がん治療を成功にみちびくポイントになります。

がん患者さんが短期間で筋肉をつける3つのコツ

1. 下半身の筋トレ

人のからだの筋肉の約70%が下半身に集中しているといわれていますので、上半身よりも下半身を強化することで、効率よく筋肉量を増やすことができます。 下半身を鍛える筋トレには色々あるんですが、簡単にできるスクワットとカーフレイズをおすすめします。 スクワットは、足を肩幅に開いて立ち、お尻を引きながらゆっくりとしゃがみ、ゆっくりと立ち上がります。 スクワットでは、できるだけ深くしゃがむのがポイントです。 きつい人は、椅子を使って、椅子から立ち上がるスクワットからはじめてもいいと思います。 スロースクワットもオススメです。スクワットによって、おもに、太もも、お尻の筋肉を鍛えることができます。 カーフレイズは、かかと上げ運動、あるいはかかと落としとも呼ばれています。 まっすぐに立った状態で、ふくらはぎの筋肉を意識しながら、つま先立ちをくりかえします。 おもにふくらはぎの筋肉を鍛えることができます。 これも、きつい人は、椅子などにつかまって行うと楽になります。

2. 筋トレ直後のホエイプロテイン

私は、筋肉を維持・増加させるため、患者さんにはホエイプロテイン(乳清タンパク質)の摂取をオススメしています。 他の大豆プロテインなどでもいいのですが、ホエイプロテインのほうが吸収が早いことがわかっています。 とくに、ホエイプロテインを筋トレ直後に飲むことをおすすめしています。

3. HMB(3-ヒドロキシイソ吉草酸)

HMBとは3-ヒドロキシ イソ吉草酸(β-hydroxy-β-methylbutyrate)の略で、必須アミノ酸の「ロイシン」の代謝物のことです。 最近、このHMBが筋肉の分解を防ぐサプリメントとして注目を集めています。 サルコペニア(筋肉やせ/筋力低下)を認める高齢の胃がん患者さんに、術前から運動療法(ウォーキング、筋トレ)と栄養サポートに加え、HMBの投与を行ったところ、サルコペニアが改善し、手術後に重大な合併症はみられなかったとのことです。

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