梅干しがコロナの感染抑制 みなべ町が研究委託、東海大発表
東海大学医学部の教授を中心とする研究グループは1日、和歌山県みなべ町の委託を受けた研究で、梅干しが新型コロナウイルスの感染や増殖を抑制することが分かったと発表した。培養細胞を使った研究で判明し、特許も出願している。引き続き、梅干しのどの成分が、どういう仕組みで抑制作用を及ぼしているか研究中だという。
研究は2020年10月から今年3月まで行われた。1日、みなべ町役場で、東海大学医学部の竹腰進教授と山本典生教授、大阪河崎リハビリテーション大学の宇都宮洋才教授と河野良平講師、和歌山工業高等専門学校の奥野祥治教授が発表した。
研究によると、培養細胞に新型コロナウイルスのみ感染させると、ウイルスが細胞内で増殖して細胞が死滅したのに対し、新型コロナウイルスと梅干しの抽出物を一緒に投与した場合は感染を抑制した。
また、加える梅干し抽出物の濃度を段階的に変えて、新型コロナウイルスの増殖の様子をみたところ、濃度が濃いほど増殖を抑制することが分かった。武漢株だけでなく、アルファ株、デルタ株、オミクロン株のいずれの変異株に対しても同様の効果が確認できたという。
竹腰教授は「梅干しを食べて新型コロナに効くかは学術的な調査が必要だが、細胞レベルの研究ではよく効いていると思った。個人的には食べることで効果があると感じている」、宇都宮教授は「梅干しによる新型コロナへの予防効果は期待できる。今後も、どのような変異株が現れるか分からず、これからの『ウィズコロナ』の時代に、梅干しを食べることは良いのではないか」と語った。
小谷芳正みなべ町長も「梅は日本だけでなく、世界の人々への健康増進に貢献できる作物。今後、この成果を梅産地の財産として多くの皆さまにお伝えしながら有効に活用していきたい」と話した。
新型コロナウイルスと梅の機能性の研究では3月にも、紀州田辺うめ振興協議会が大阪医科薬科大学に依頼して行った研究で、梅ポリフェノールに新型コロナウイルスの感染を阻害する効果があることを確認したと発表している。