ひもんやだよりWEB版
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ひもんや内科消化器科診療所
〒152-003 目黒区碑文谷2丁目6-24
TEL.03‐5704‐0810
2021年12月号掲載
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新型コロナをめぐるあれこれ - Part II

予防接種事業も一段落し、新規感染者も激減と、「新型」という言葉が色褪せてきた感のある我が国の新型コロナの状況ですが、厚生労働省から追加接種(3回目接種)の指針が示されました。

目黒区は高齢者接種が5月に接種がスタートしましたので、3回目接種は来年1月下旬からの開始になる見込みです。

新型コロナワクチン追加接種(3回目接種)について
厚生労働省ホームページより

接種が受けられる時期

接種を行う期間は、令和3年12月1日から令和4年9月30日までの予定です。

接種の対象

新型コロナワクチンの追加接種(3回目接種)の対象は、以下を全て満たす方全員です。

※1 次の方が、初回接種に相当する接種を受けた方となります。ただし、日本で薬事承認されている、ファイザー社ワクチン、武田/モデルナ社ワクチン、アストラゼネカ社ワクチンのいずれかを接種している場合に限ります。

特に接種をお勧めする方

高齢者、基礎疾患を有する方などの「重症化リスクが高い方」重症化リスクが高い方の関係者・介助者(介護従事者など)などの「重症化リスクが高い方との接触が多い方」 医療従事者などの「職業上の理由などによりウイルス曝露リスクが高い方」

接種ワクチンと接種対象年齢

1回目・2回目に接種したワクチンの種類にかかわらず、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンを使用します。

ファイザー社のワクチン

追加接種(3回目接種)で使用します。18歳以上の方が対象です。

※武田/モデルナ社のワクチンについては、追加接種(3回目接種)に向けての薬事承認審査中です。

妊娠中の方、授乳中の方、新型コロナウイルスに感染したことがある方にとってもワクチン接種はメリットがあるため、接種をご検討ください。

接種が受けられる場所

原則として、住民票所在地の市町村(住所地)の医療機関や接種会場で接種を受けていただきます。

接種を受ける際の費用

全額公費で接種を行うため、無料で接種できます。

※最新情報は厚生労働省のホームページにてご確認ください

さて、3回目接種の対象は今のところ18歳以上なので、子供たちの感染、そして子供たちが感染拡大の火種になることが心配です。

実際、第5波はそれ以前と比べて、未接種の若年層に感染者が広がりました。

無症状の子どもを介してCOVID-19感染が拡大し得る

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染した子どもは、無症状であっても他者へウイルスを伝播させ得ることを示唆する、新たな研究結果が報告された。米マサチューセッツ総合病院のLael Yonker氏らの研究によるもので、詳細は「The Journal of Infectious Diseases」に10月14日掲載された。

Yonker氏らの研究の対象は、2020年4月~2021年4月に同院を受診しCOVID-19と診断された21歳以下の患者110人。年齢は中央値10歳で生後2週の乳児も含まれていた。性別は男子が56%で、人種/民族は白人が33%、ヒスパニックが38%だった。また、73%は症候性、27%は無症候性で、68%は外来治療で治癒し、入院を要したのは33%だった。入院中に酸素吸入や人工呼吸管理を要した患者は16%だった。

RT-PCRによって定量化されたウイルス量やウイルスのゲノム配列と、患者の年齢、症状の持続期間、および重症度との関連を検討した結果、年齢はウイルス量と関連がないこと、発症から最初の5日間が最も感染力が強いと考えられること、ウイルス量と重症化リスクは相関しないことなどが明らかになった。またウイルスのタイプは変異株の傾向も含め、患者の居住するコミュニティーの代表的なものだった。

これらの結果からYonker氏は、新型コロナウイルスの伝播リスクという点では、「乳児、子ども、10代の若者は同等と言える」とし、「子どもはCOVID-19に罹患しても他者にウイルスを伝播させる頻度は低いという考え方は否定された」と語っている。そして、「この研究の意味するところは、パンデミックを終息に導くために、子ども、若者、成人の全てにマスク着用をはじめとする公衆衛生対策が求められるということだ」と指摘している。

さらにYonker氏は、「子どもたちはウイルスが新たな変異株を生みだす進化のためのリザーバーとなり得るし、現在既に存在する変異株の拡散者にもなり得る。デルタ株の出現で明らかになったように、変異株はCOVID-19重症化リスクを高めワクチンの有効性を低下させてしまう可能性がある」と述べている。

原著論文:Yonker LM , et al. J Infect Dis. 2021 Oct 14. [Epub ahead of print]

では、果たして第6波は来るのか?

それに対して、わが国では新型コロナウイルスはすでに「自滅」してしまったのでは?という嬉しい報告がありましたので、ご紹介します。

ゲノム修復困難で死滅?
コロナ第5波収束の一因か
酵素が変化、変異蓄積
2021年10月「日本人類遺伝学会」発表より

新型コロナウイルスの流行「第5波」の収束には、流行を引き起こしたデルタ株でゲノム(全遺伝情報)の変異を修復する酵素が変化し、働きが落ちたことが影響した可能性があるとの研究結果を国立遺伝学研究所と新潟大のチームが30日までにまとめた。

8月下旬のピーク前にはほとんどのウイルスが酵素の変化したタイプに置き換わっていた。このウイルスではゲノム全体に変異が蓄積しており、同研究所の井ノ上逸朗(いのうえ・いつろう)教授は「修復が追いつかず死滅していったのではないか」と指摘する。

この酵素は「nsp14」。ウイルスは増殖する際にゲノムを複製するが時々ミスが起きて変異が生じる。変異が積み重なるとやがて増殖できなくなるが、nsp14が修復すれば防げる。

チームは、国立感染症研究所が公開する国内で検出した新型コロナのゲノムデータを分析。第5波では、nsp14に関わる遺伝子が変化したウイルスの割合が感染拡大とともに増え、ピークの前から収束までの間は、感染者のほぼ全てを占めていた。昨秋から今年3月ごろまでの「第3波」でも同様の傾向が確認できた。nsp14の遺伝子が変化したウイルスでは、ゲノムの変異が通常の10~20倍あった。

チームは、人間の体内でウイルスに変異を起こして壊す「APOBEC」という酵素がnsp14を変化させたと推測。東アジアやオセアニアではこの酵素の働きが特に活発な人が多いという。

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