新型コロナワクチン いつ受けられる? どこで受けられる?
そして受けた方がいいの?
目黒区では、4月26日以降に、区内13か所の会場で集団接種を行う見通しです。
接種は、
- 高齢者(1957年[昭和32年]4月1日以前に生まれたかた)
- 上記の高齢者以外で基礎疾患があるかた。高齢者施設等で働くかた
- 1.2.以外のかた の順に行っていくことになっていますが、具体的な接種
の順番、方法についてはまだ発表はありません。
詳細は目黒区ホームページをご参照ください。
かかりつけの医療機関での実施を行う自治体もあるようですが、今回供給されるファイザー社のワクチンは極低温で保管しないと安定性が保てないことや、1本のバイアルに5~6人分の薬液が入ってることから、ワクチンを有効利用するためには集団接種が望ましい方法です。我々も目黒区医師会として会場にて接種をお手伝いする予定ですので、ご協力をよろしくお願いいたします。
なお、ファイザー社以外の、温度管理の厳しくないワクチンが導入された場合には、医療機関での個別接種が行われる可能性はあります。
さて、「受けた方がいいのか?」というご質問に関しては、正直なところ自信をもってお答えすることはできません。
予防接種には、自分自身のためと世の中のための2つの目的があり、この2つはある程度重なり合っています。
簡単にいうと、自分が掛からないことで人にもうつさないようにすることができる、かかっても重症化しないことで、医療資源を守ることができる、ということです。
自分と社会がこのメリットを享受するために接種を受けるわけですが、接種による副反応のデメリットは接種した個人がすべて負うことになります。
「受けた方がいいのか?」に対する答えは、このメリットとデメリットのバランスはどうか?ということです。
まず接種することで、自分自身がコロナ感染しにくくなるか?については、開発段階の基礎データや欧米での先行接種の事例からは、YESといえるでしょう。(図)
接種によって、人にうつさなくなるか?といえば、個人レベル(自分が掛からなければ、目の前の人にうつさない)ではYESとおもえますが、日本全体で見た場合、そこまでの効果が得られるかどうかは不明です。人口1億2500万人の日本の感染者数は累計で3月21日現在で45万7506人、単純計算で人口2,200人あたり1名、入院者が1万3383人、死亡者8,849人です。
米国は人口3億3000万人に対して、感染者3,000万人、死亡者50万人、死亡率が高いとされる人口6千万人イタリアは、感染者数340万人、死亡者10万5000人、ワクチン接種の進んでいるイスラエルは、人口850万人に対して感染者83万人、死亡者6,000人です。
我が国の感染率、死亡率は海外と比較して極めて低く、一般的に感染率、重症化率の低い集団に予防接種介入しても、感染者の多い集団のような目に見える効果を得ることは難しいのです。
例えば体重100Kgの人がダイエットして60Kgになれば、効果は目に見えて明らかですが、体重60Kgの人が同じ方法を行っても40%減の36Kgになるわけではありませんし、60Kgの人がダイエット効果を目に見えるようにするのは100Kgの人より難しく、同じ方法をとってもダメで、そもそもダイエットをする必要もない、かえって痩せることの不利益が大きいかもしれないのです。
低感染率、低重症化率の我が国では、予防接種の集団としての効果は得られにくいのではないか、多少はあったとしても、季節的な要因や、ウイルスの変異などの感染状況に影響を与える他の様々なファクターの方が大きく働いて、ワクチンの効果がそれこそマスクされて数字として表れにくく、効果よりも副反応ばかりが目立ち、そればかり報道されてかえって国民は不安になるかも?と私はおもっています。
接種のデメリットは「注射時の痛み、注射後の痛み」、「アナフィラキシーなど短期的な副反応」、「発がん性や自己免疫疾患、生殖異常、その他接種後時間がたってから現れる不利益」、そして「効果持続期間が短い可能性」があることです。
痛みに関しては、他の予防接種と同等と考えていいでしょう。
短期的な副反応に関しては、アナフィラキシーの他に、血栓症などが報告されていますが、今のところ因果関係のはっきりしたものはありませんので、これまでの海外での接種状況からみても、心配するほどではない、と私はおもっています。
問題は「接種後時間がたってから現れる不利益」で、これについては「あるかないかは時間がたってみなくてはわからない」としか言いようがありません。今回のワクチンはメッセンジャーRNAワクチンという前例のない作用機序のワクチンです。この手法のワクチンは長期的な安全性が担保されていないということでこれまで認可されていなかったのですが、欧米の感染状況の拡大から、それこそ緊急事態ということで、認められたわけです。目先の感染予防と「あるかないかは時間がたってみなくてはわからない」将来の不利益を天秤にかけて、どちらを取るかはいくら考えても答えの出ない問題ですが、低感染率、低重症化率の我が国で、少なくとも感染しても重症化率が極めて低く、残りの人生の長い若年者には接種したくない、というのが、私の本音です。
ワクチンの持続効果に関しても未知です。今のところ変異ウイルスに対してもある程度効果があるということはわかっていますが、この先ウイルスの側がどんな対抗措置(変異)をとってくるはわかりません。我々の生体側もメッセンジャーRNAワクチンで作られた免疫をどのくらい維持できるのかは、個人差も含めて未知です。ただ、ウイルスの変異が大きく、人間側の免疫も1年程度しか維持できないインフルエンザワクチンを、われわれは毎年受けているわけですから、もし効果が持続しないワクチンであっても、一時的に効果が得られるのであれば、「コロナワクチンとはそういうもの」と割り切ればよい、と私はおもっています。
接種開始まではまだ時間がありますので、接種するかどうかに関しては、無責任な情報に振り回されることなく、ご自身で判断していただきたく、そして「自分とは違う判断をする人を批判する世の中」にならないことを願っています。
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