新型コロナウイルス感染症でも注目 ミミズで血栓予防?
新型コロナウイルス感染は肺炎だけでなく、血栓症を合併することがわかってきました。血管内に血栓ができることで、脳梗塞や肺塞栓症を起こし、これは比較的若い方にもみられます。
ミミズは漢方薬やインドの強壮剤に使われてきた歴史がありますが、ルンブルクスルベルス(Lumbricus Rubellus)という欧米原産の赤ミミズの酵素が、血栓症予防に有効なのでは?と注目されています。
血栓症とは?
血栓症は血管内に出来た血栓が血管を詰まらせ、血流が阻害されることで起こる病気で、全身どこの血管にも起きる可能性があります。脳血管に血栓が詰まると脳梗塞、肺血管が詰まると肺塞栓症になり、生命に危険を及ぼしたり、重大な後遺症を残すことがあります。いわゆるエコノミークラス症候群は下肢の静脈に出来た血栓が、肺に流れることで発症します。
新型コロナウイルス感染症では血中のウイルスが血管の内皮細胞を障害し、そこに血栓ができることがわかっています。(図1)この血栓が脳梗塞や肺塞栓症の原因になったり、若年層の新型コロナウイルス陽性患者のつま先が赤や紫色に変色する「COVID toes(コロナのつま先)」という病変も「血栓」との関連性が指摘されています。
血栓の出来る機序
悪者扱いの血栓ですが、血栓形成は障害された血管の止血作用に重要な役割を担っています。
血管が障害され出血が起こると、障害部位に血小板が集まり傷口を塞ぐ応急処置をします。次いでフィブリンという繊維状のたんぱく質が血球を取り込んで傷口を固めます。血管内にかさぶたができた状態です。かさぶたに守られて血管が修復されると、かさぶたはお役御免になり、プラスミンというタンパク分解酵素によって溶かされます。(図2)このフィブリンによるかさぶたが血栓で、途中ではがれたり、うまく溶かされずに血管内に流れて血管を詰まらせて起こる疾患が血栓症です。
ミミズ酵素はどうして血栓症予防が期待できるの?
血栓を溶解するプラスミンは血中のプラスミノーゲンというたんぱく質が、血管内皮細胞にあるt-PA( tissue plasminogen activator )や u-PA (Urokinase-)という物質に活性化されることで生成します。(図3)t-PA、u-PAは脳梗塞の緊急治療用の注射剤として使われています。
ルンブルクスルベルスという赤ミミズから抽出されたルンブロキナーゼという酵素が、t-PA、u-PAに似た、血栓融解作用を持つことを宮崎大学名誉教授美原恒博士が発見しました。美原恒博士は大学の廃棄物処理にミミズを利用することを考案し、増えたミミズを何かに生かせないかと考え、専門の血栓症研究と結びつけました。
シャーレにミミズ(ルンブルクス・ルベルス)を頭から 1 センチ位に切り分けた物を順番に並べると、頭の方から 3 分の1位のフィブリンが溶けていました。其処の内臓の中からフィブリンを溶かす線溶物質が出ている事を示しています。(図4)博士はネズミ、犬を使った動物実験からミミズ乾燥粉末の抽出液を経口投与すると、ウロキナーゼ(u-PA)を静脈注射するよりも効果的に血栓を溶解させると云う可能性が示唆されたため、研究室のスタッフを被験者にしたミミズ酵素粉末服用ヒト試験を行い、被験者全てにおいて、翌日からフィブリン分解産物(血栓本体であるフィブリンが分解されたもの)が増え、そして17日目にはほぼ見られなくなるという結果を得ました。
その後の複数の実験でも、ルンブロキナーゼの血栓溶解効果が推測されています。
ミミズ乾燥粉末LR末IIIルンブルクス・ルベルスを清潔な環境で養殖し、有効成分を残して乾燥粉末化したのが、LR末IIIです。
医薬品としての承認は得ていませんので、サプリメント(食品)扱いです。
LR末IIIを使ったサプリメントは各種販売されていますが、当院では白寿BIO医研株式会社「アリペリン5」を扱っています。販売価格は10,800円(税込)です。
当院院長も飲み始めました!
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