ひもんやだよりWEB版
ひもんやだよりWEB版
ひもんや内科消化器科診療所
〒152-003 目黒区碑文谷2丁目6-24
TEL.03‐5704‐0810
2020年02月号掲載
!

お酒とコーヒーは健康の味方です

1日1杯のアルコールは2型糖尿病患者にも良い?

適量の飲酒が健康な人にとってプラスになるというエビデンスは少なくないが、2型糖尿病患者にも有益である可能性が報告された。少量~中等量のアルコールを摂取している人はトリグリセライド(中性脂肪)が低く、インスリン感受性が良いという。研究内容は欧州糖尿病学会(EASD2019、9月16日~20日、スペイン、バルセロナ)で発表された。

東南大学(中国)のYuling Chen氏らは、PubMed、Embase、Cochranライブラリーを用いて2型糖尿病患者のアルコール消費について報告した論文の文献レビューを実施。計575人の被験者を含む10件のランダム化比較試験を抽出。メタ解析により、血糖コントロール状況やインスリン値、インスリン抵抗性などの糖代謝関連指標、およびコレステロールやトリグリセライドなどの脂質代謝関連指標といった、糖尿病の管理に関するさまざまな因子について検討した。

解析の結果、毎日少量~中等量のアルコールを摂取している人は、トリグリセライドが低値であることがわかった。トリグリセライドは150mg/dL未満が基準値とされ、トリグリセライドが高いことは心疾患リスクの上昇と関係している。本研究における適量飲酒者のトリグリセライドは平均で約9mg/dL低かった。

また、空腹時血糖やHbA1cに有意差はなかったが、インスリン値やインスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRはアルコールを少量~中等量摂取している人で低値だった。これは適量飲酒している人のインスリン感受性が良いことを意味する。なお、総コレステロール、LDL-コレステロール、HDL-コレステロールは有意差がなかった。

これらの結果のまとめとして、Chen氏は「2型糖尿病患者において少量~中等量の飲酒によりインスリン抵抗性が軽減することが示唆された。少量~中等量の飲酒は、2型糖尿病に対する保護効果を有する可能性がある」と考察。しかしその一方で、「大量の飲酒は糖尿病のリスク因子であることが報告されている」とくぎを刺している。

では、「少量~中等量」とは具体的にどの程度の量なのだろうか。Chen氏によると、それは1日当たり約20gのアルコールを指すという。これは、目安としてビールでは1.5缶(アルコール度数5%、330mL)、大きなグラス1杯のワイン(度数12%、200mL)、蒸留酒ならショットグラス1杯分(50mL)に相当する。なお、米国糖尿病協会(ADA)は、適度な飲酒量の目安として、成人女性では1日1杯未満、成人男性では1日2杯未満を推奨している。

[2019年9月17日/HealthDayNews]

コーヒー摂取で腸内環境が改善?

コーヒーを摂取すると、腸内細菌叢のバランスが改善する可能性があることが、米ベイラー医科大学消化器内科准教授のLi Jiao氏らが行った研究で明らかになった。研究の詳細は、米国消化器病学会(ACG 2019、10月25~30日、米サンアントニオ)で発表された。

近年では、カフェインを摂取すると2型糖尿病や一部のがん、パーキンソン病などのさまざまな疾患の発症リスクが低減するとの研究結果が報告されている。一方で、カフェイン摂取は腸内細菌叢の組成を変える可能性があり、疾患リスクや健康全体に影響するというエビデンスが蓄積している。

そこで、Jiao氏らは、カフェイン摂取と腸内細菌叢の組成との関連を調べる研究を行った。なお、これまでは便サンプルを用いた研究が多かったが、同氏らは今回、大腸内視鏡検査中に、結腸のさまざまな部位から組織の一部を直接採取して、腸内細菌叢の組成を分析した。また、食物摂取頻度調査票を用いて、カフェインの摂取量について尋ねた。

研究では、34人の参加者から採取した97カ所の生検サンプルを分析。その結果、過去1年間にコーヒーを1日2杯以上飲んでいた人は、それ以下か全く飲まなかった人と比べて腸内細菌叢のバランスが優れていたことが分かった。また、コーヒーの摂取量が多い人の腸内細菌は種類が豊富で、大腸全体により広く、均一に分布していることも明らかになった。さらに、このような人の腸内細菌叢は抗炎症的で、Erysipelatoclostridiumなどの代謝異常や肥満と関連する細菌が存在する可能性は低かった。

Jiao氏は「コーヒーが腸内細菌叢に良い影響を及ぼす理由は分かっていない」としながらも、「カフェインなどの一部の成分が細菌の代謝に影響を与え、その代謝の最終産物が体と相互作用している可能性がある」と説明。「1日1~2杯のコーヒーは安全で、健康に保護効果をもたらす可能性がある。コーヒーが好きなら、我慢せずに楽しんで欲しい」と付け加えている。

[2019年10月28日/HealthDayNews]

ページ先頭へ