睡眠に関する話題
「睡眠時間5時間未満もしくは10時間以上」「睡眠薬の使用」が、認知症や死亡の危険因子 Ohara T, et.al. J Am Geriatr Soc. 2018 Jun 6. [Epub ahead of print]より
日本人高齢者において、「睡眠時間5時間未満もしくは10時間以上」「睡眠薬の使用」が、認知症や死亡の危険因子であることが示唆された。
九州大学の小原 知之氏らが久山町研究での調査結果をJournal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2018年6月6日号に報告。
対象は認知症でない60歳以上の地域在住日本人。自己申告による1日睡眠期間を、5群(5.0時間未満、5.0~6.9時間、7.0~7.9時間、8.0~9.9時間、10.0時間以上)に分類し、1日睡眠期間と認知症および死亡リスクとの関連を判定した。
- 追跡期間中、294人が認知症を発症し、282人が死亡した。
- 認知症発症率および全死因死亡率は、1日睡眠時間が5.0~6.9時間の参加者に比べ、5.0時間未満および10.0時間以上の参加者で有意に高かった。
ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)は以下のとおり。
睡眠時間5.0時間未満
認知症HR:2.64、95%CI:1.38~5.05 死亡HR:2.29、95%CI:1.15~4.56
睡眠時間10時間以上
認知症HR:2.23、95%CI:1.42~3.49 死亡HR:1.67、95%CI:1.07~2.60
- アルツハイマー病および血管性認知症でも、同様のU字型の関連が認められた。
- 睡眠薬の使用が認知症や死亡リスクに及ぼす影響を調べたところ、睡眠薬を使用している参加者は、睡眠薬を使用しない1日睡眠時間5.0~6.9時間の参加者に比べ、認知症リスクが1.66倍、死亡リスクは1.83倍であった。
午後早い時刻に30分以内の昼寝がおすすめ 2018年04月28日(土) 配信 朝日新聞デジタル(アピタル) 医療より
厚生労働省は2014年に公表した「健康づくりのための睡眠指針」で、「午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝」を推奨している。指針の改定に関わった日本大の内山真教授(精神医学・睡眠医学)によると、昼寝でパソコンなどのVDT(画像表示端末)作業の効率が上がったという研究報告がある。
健康への影響については、「1時間以内の昼寝がアルツハイマー病や死亡のリスクを下げるという報告や、高齢者の昼寝は高血圧や糖尿病の人で多いという調査もある。昼寝が健康に良いという医学的な根拠はまだ十分にない」と話す。
東京ガス都市生活研究所の2014年のインターネット調査(回答2600人)によると、平日に昼寝をする人は3~5割で、10~20代や70代で目立った。
人が昼過ぎに眠くなる理由の一つは、体内時計の影響と考えられている。しかし、いつも昼間に眠くなる人や、長時間の昼寝をしてしまう人は注意が必要だ。夜間の睡眠時間が短いか、睡眠時無呼吸症候群などの影響でぐっすり眠れていない可能性がある。
夜間に必要な睡眠時間は個人差があり、年齢によっても変わるが、おおむね6~7時間台とされる。内山さんは「生活習慣を見直して睡眠時間を増やすか、病気の治療が必要。昼寝で補おうとしない方がいい」と注意を呼びかける。
快眠セラピストの三橋美穂さんは、昼寝のコツとして「午後3時ごろまでの間に20分以内で起きる」を挙げる。一般的に20分を過ぎると深い睡眠に入ってしまい、すっきりと目覚められなくなるからだ。高齢者は深い眠りに入るまでの時間が長く、30分以内なら問題ないという。
覚醒作用のあるカフェインは、摂取から20~30分後に効果が出る。「昼寝の前にコーヒーや紅茶などを飲むといい」と三橋さん。「起きたら目頭のツボを押さえたり耳を引っぱったりするとすっきりする。ペパーミントなどのアロマをかぐのもおすすめ」と話す。
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