便潜血検査(大腸がん検診)の結果はいかがでしたか?
便潜血検査を受けたグループと受けないグループを長期間観察したところ、受けたグループのほうが大腸がんで亡くなる人が少ないという結果が得られており、便潜血検査は、大腸がん検診としての有効性が確立している検査法です。
しかし、便潜血反応による大腸がん検診は、受けっぱなしでは全く意味がありません。便潜血検査は陽性者に内視鏡検査を行ない、大腸がんを発見することに意味があるのです。
便潜血反応とは
消化管からの出血が、便に混じって出てくるのを捕らえる検査です。
大腸がんの組織は、正常の大腸粘膜よりももろく、便が通過するときに出血しやすいので、便潜血反応が陽性の場合には、大腸がんがある可能性があるといえます。
目黒区の検診をはじめ、複数の調査において、便潜血反応が陽性の人から大腸がんがみつかる可能性は3%~7%と報告されています。
消化管出血をきたす病気は大腸がんだけではないので、便潜血陽性でも9割以上の人は、大腸がんではなく、痔や良性のポリープ、大腸炎などによる出血ですが、陽性者の3%~7%にがんがみつかるというのは、かなり高い確率とおもってください。
また現在の検査法では、食道や胃からの出血は、便に混じるまでに胃酸などで変性しているため、便潜血反応陽性にはなりません。また焼肉や肉の刺身といった食事の影響もありません。
大腸がんの早期発見のために
「便潜血検査は毎年受ける」
便潜血検査は、大腸がんがあっても30%は陰性になってしまう検査です。 すでに大腸がんの診断のついた患者さんに、手術前に便潜血反応の検査をしてもらったところ、70%程度しか陽性にならなかったという報告があります。がんがあっても30パーセントは陰性になってしまうということです。
しかし受ける回数を増やすことで、出血をとらえるチャンスを増やすことが出来ます。目黒区の検診でも、便を2回とっていただいているのはそのためです。そして毎年受けることで、さらに出血をとらえる確率はあがります。多くの大腸がんは、それほど進行が早くないので、無症状のまま発見が1年遅れたとしても、十分に救命できる可能性があります。
「陽性になったら、必ず内視鏡検査を受ける」
便潜血反応は、陽性者に内視鏡検査を行ってがんを発見するための検査です。結果を放置してしまっては、受けた意味が全くありません。
「陽性者の便の再検査は無意味」
一度陽性になったということは、どこかに出血があり、それががんである可能性がある、ということです。もう一度やり直して陰性だとしても、たまたま2回目にはうまく出血が拾えなかっただけかもしれません。陽性者の便潜血反応の再検査は無意味です。
「痔を言い訳にしない」
痔の人ほど、大腸がんが手遅れになります。痔があることがわかっているのであれば、痔の状態確認も兼ねて、大腸内視鏡検査を受けましょう。
「5年に一度は、便潜血検査の結果にかかわらず、大腸内視鏡検査を受けましょう」
出血しない大腸がんもあり、多くは早期がんです。早期発見のために5年に一度は便潜血反応が陰性でも、大腸内視鏡検査を受けましょう。
多くの大腸がんは進行が早くないので、5年に1度の内視鏡検査と毎年の便潜血検査を受けていれば、大腸がんで命を落とすことはまずありません。大腸がんの多い米国ではこの方法が一般的です。
大腸内視鏡検査を受けるのがたいへんという方は、せめて直腸からS状結腸までの内視鏡検査を受けましょう。大腸がんの75%は直腸からS状結腸に発生します。肛門から近い直腸からS状結腸だけであれば、下剤を飲まなくても浣腸だけで観察でき、苦痛も少なく、検査時間も5分程度です。
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