溶連菌性咽頭炎が流行しています
溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)は主にノドに感染して、咽頭炎や扁桃炎を起こします。全身に小さく赤い発疹を伴い、その皮膚症状から、かつては猩紅熱と呼ばれた病気です。猩紅とは、暗い赤色のことで、英語のスカーレットとのほうがわかりやすいかもしれません。猩とは、オナガザルに似た、人面で顔と毛が赤い中国の想像上の動物で、その血の色が猩紅とされています。
うんちくはさておき、おもな症状は発熱とノドの痛みです。しかし、3歳未満ではあまり熱があがらないこともあります。
体や手足に小さくて紅い発疹が出たり、舌が腫れぼったくなしイチゴのようなツブツブができたりすることもあります。(図1)
頭痛、腹痛、首すじのリンパ節の腫れることもあります。
感染してからだいたい2~4日で症状がでます。
溶連菌に感染している疑いがあれば、ノドの粘膜を綿棒で採取して細菌の検査をおこないます。迅速診断キットがあるので10分以内に結果が出ます。(図2)
陽性反応が出た場合は、症状と合わせて「溶連菌性咽頭炎」と診断します。
ノドに溶連菌がくっついているだけで、悪さをしていない場合もあり、健康な人でも、ノドの検査で溶連菌が陽性と出る場合があるからです。
「溶連菌性咽頭炎」と診断された場合には、抗菌剤を10日間しっかり飲みます。
症状は1~2日で治まることがほとんどですが、抗菌剤は途中で止めずに10日間呑み続けなくてはいけません。
服用を中止してしまうと、再発したり、リウマチ熱による心臓弁膜障害や糸球体腎炎の合併症を起こすことがあります。
また薬を飲み終えて1か月後には必ず尿検査をして、腎炎による蛋白尿や血尿が出ていないかを確認しなくてはいけません。
食事はノドに刺激の少ないものであれば特に制限なく、熱が高くなければ入浴も可です。
感染経路は咳やくしゃみによる飛沫感染で、家族(大人も)や同級生に感染するおそれがありますが、抗菌剤をのみはじめて24時間を経過すれば、他の人にうつす可能性はほとんどありませんので、症状が改善していれば登園・登校は構いません。
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