ひもんやだよりWEB版
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ひもんや内科消化器科診療所
〒152-003 目黒区碑文谷2丁目6-24
TEL.03‐5704‐0810
2015年04月号掲載
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腹部超音波検査で何がわかるの?

超音波は人間の耳には聞こえない高い周波数の音波で、一定方向に強く放射され直進性が高いという性質があります。これを利用して腹部に超音波を発信し、そこから返ってくるエコー(反射波)を受信し、コンピュータ処理で画像化して診断するのが腹部超音波検査(腹部エコー)で、魚群探知機と同じ原理です。

腹部臓器全体を、診察室ですぐに検査でき、その場で診断できることが超音波検査の最大のメリットです。

内視鏡検査のような苦痛がなく、X線検査のように放射線被爆の心配がないため、小児や妊婦にも安全です。

腹部超音波検査で何がわかるの?

腹部超音波検査で調べられる臓器は多岐に及び、肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、膀胱、前立腺、子宮や卵巣が対象となります。また胃、腸などの消化管病変の診断にも有用です。

また大きさの測定も簡単にできるので、すでに診断のついている病変の経過観察も容易です。

肝臓

肝臓は超音波検査が有用な臓器です。肝がん、肝血管腫のような良性の肝腫瘍の診断、脂肪肝(画像)が診断できます。

胆のう

超音波検査で一番発見されることが多いのが、胆石(画像)です。他に胆のうポリープ、胆のうがんの診断にも有用です。

膵臓

膵がん、膵炎の診断に有用ですが、膵臓は胃の裏側にあり、超音波検査でも見えにくい臓器です。当院では膵がんの早期発見には超音波検査だけでなく、採血検査、MRI検査を併用をおすすめしています。

腎臓

腎結石、水腎症の診断に有用です。症状のでにくい腎がんも、超音波検査をきっかけに発見されることがあります。

膀胱

尿路結石、膀胱腫瘍の診断に有用です。血尿が続く場合には超音波検査は必須です。排尿前後の膀胱の大きさを比較することで、膀胱機能も評価できます。

前立腺

前立腺肥大症のサイズを測ることで前立腺肥大の診断ができますが、大きさと症状が一致しないことも少なくありません。進行した前立腺がんが診断されることもありますが、早期がんの診断は難しく、腫瘍マーカーPSAが高い方は、直腸からの前立腺生検を併用することをおすすめしています。

子宮

子宮筋腫も腹部超音波検査で簡単に診断でき、大きさの経過観察もできます。子宮体がんも超音波検査で発見されることがありますが、子宮頸がんの早期発見には困難です。

卵巣

卵巣腫瘍(画像)も腹部超音波検査で発見されることの多い疾患です。ただし卵巣腫瘍の良性悪性の診断はたいへ難しいので、卵巣に腫瘍が発見された場合には、一度はMRI検査を受けていただき、良性悪性の診断をつけます。一般の婦人科検診でみているのは子宮頸がんで、卵巣腫瘍をみつけるのは難しいので注意が必要です。毎年婦人科検診を受けている方から、当院の超音波検査で卵巣がんがみつかることも少なくありません。

消化管

進行した胃がんや大腸がん、大きな胃十二指腸潰瘍がみつかることがありますが、腹部超音波検査は、消化管の慢性病変の診断はあまり得意ではありません。

消化管病変で超音波検査の有用性が発揮されるのは、腸閉塞(画像)や虫垂炎、腹膜炎などの腹部救急疾患です。

特に、小児は腸閉塞(腸重積)を起こしやすいので、急激な嘔吐や腹痛で来院した子供には、当院では必ず超音波検査を実施します。

腹部超音波検査はどのように行なうの?

  1. 腹部を十分に広く出すため、ズボンやスカートは腰の骨位まで下げます。
  2. 検査台に仰向けに寝て、両手を頭の方にあげて、手枕をした姿勢をとります。
  3. 皮膚と音波を出す探触子(プローブ)との間に空気が入らないように、腹部にゼリーを塗ります。
  4. プローブを腹部に押し当て、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓など腹部内臓器の断面層の画像をモニターテレビでで観察します。
  5. 検査部位により横向きや座った姿勢で検査を受けます。

検査時間は部位によって異なりますが、通常10~20分くらいです。

検査を受けるときの注意

基本的に腹部内に空気が多く存在すると、見えにくくなります。特に膵臓は胃の中にガスがあるとよく見えません。食事の後では消化管内に空気が発生しやすく、胆のうも胆汁を出したあとでしぼんでしまうので、絶食の状態で行うことが望ましいです。また、膀胱を検査する場合は尿がたまっているほう詳しく観察できるので、検査前の排尿は我慢するようにします。

腹部超音波検査は随時実施しています

当院では腹部超音波検査は随時実施しています。

予約は必要ありません。

ご希望の方は、診察時におっしゃってください。

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