ひもんや俳壇令和二年度
2021年1月号
令和二年度
ひもんや俳壇賞
黒澤三主寿 選
※「ミモザ会」は特別作品として選外とさせていただきました
大賞
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女性誌のサラダ特集夏に入る安達久美子なんという気持のよい句でしょう。すらりと一気に読んで共感する句です。ふと入った本屋さんでしょうか。手に取った女性誌の「サラダ特集」に、あゝもう夏!とわくわくする思いが伝わってきます。
次席
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帰省すら意の儘ならぬ世となりて木村 遊風全くコロナ禍は何時まで続くのでしょう。マスク、手洗い、三密を避けて自粛の毎日です。もう少しでしょう。帰省出来る日を信じて。
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紫陽花や爪立ちすれば由比ヶ浜辰馬 京子一読しすぐ鎌倉の長谷寺を思いました。登りつめて満開の紫陽花の中に爪立ち、海を見ているその姿が目に見えるようです。
ひもんや診療所・院長賞
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秋夕焼子を自転車の前うしろ小林 智子仕事帰りのお母さんでしょうか。二人の子供を迎えて自転車で家路を急ぎます。秋の日は釣瓶落し、夕焼けが褪せぬうちにとペダルを漕ぐ。働くお母さんへのエールのような句。
秀作
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つなぐ手を放し夜店へ駈けてゆき畑山 則子
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枝豆のよき色加減塩加減安藤 虎雄
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大朝焼月しろじろと残りけり鈴木恵美子
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夕東風や改札を出て襟合はす千葉ゆり子
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一本のカーネション手に男の子渡辺 幸江
佳作
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梅の香や空に広がる白と紅滝口 智子
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コロナ禍やベランダ越しのご挨拶富所 敬子
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凍空やうす紙のごと白き月戸上 和
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親鴉ハンガーくはへ去りにけり村上 允子
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人声をどこかに夏の山下る佐藤加代子
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冬日受け二つ水脈ひくつがひかな里山
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うす暗き庭ほの白き茗荷の子仲島 信
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豆を撒く声を聞かなくなりにけり譲原 節子
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今日もまた旅の話や春を待つ中村 常子
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色見本のごとくに若葉山染めて苅野 玲子
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敷石のつぎ目つぎ目に草萌ゆる苅野 節子