ひもんや俳壇平成三十年度
2019年1月号
平成三十年度
ひもんや俳壇賞
黒澤三主寿 選
※「ミモザ会」は特別作品として選外とさせていただきました
大賞
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飛べるんだ緑の中へ雀の子鈴木恵美子一目見て雀の子とわかる仕種、まだ羽も揃っているようには見えず淡い色。親雀らに混って何か啄んでいたのでしょう。どっと一斉に飛び立つ雀。「飛べるんだ」という驚きの言葉がそのまゝ句になってこの句を新しくしています。
次席
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桑の実に染まりし舌を見せ合ひっこ千葉ゆり子お母さんに「食べては駄目」と言われたのもすっかり忘れ取っては食べ、取っては食べて、お友達と舌を見せ合っている。楽しい時間。昔も今もきっと同じでしょう。良い思い出となること請合いです。
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ふるさとのずしんと届く今年米仲島 信新米は銘柄を問わず美味しい。まして故郷の新米となればなおのこと。ずしんと届くのですからその量は十キロかな。いやもっとかも知れない。どんなに嬉しかったでしょうね。
ひもんや診療所・院長賞
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捨鉢と決めてをりしに下萌ゆる藤田 静枝枯らしてしまったと諦めて庭隅に置いた鉢。何と新しい芽が!見つけた時の驚きと喜びが伝わります。
秀作
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翡翠の銜えし魚の腹うねり戸上 和
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碧空へ黄金に伸びる大銀杏出口 盈子
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大空がカンバスとなる鰯雲安藤 虎雄
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新走故郷の銘なつかしき吉田 新子
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冬館リース犬小屋にも飾り渡辺 幸江
佳作
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湯豆腐の二日続きとなりにけり富所 敬子
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風の音かすかにありて秋に入る滝口 智子
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米をとぐ手を止めて聴く虫の声畑山 則子
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紫陽花の色鮮やかに雨の中村上 允子
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風さへも彼岸の入りを告げてをり小針カツ子
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若き日の大志はいづこ秋立ちぬ川部 義明
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恋猫の戻り来ぬまゝ月日過ぐ三浦 絢子
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春の花いろとりどりに路地住まひ譲原 節子
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今年また飾れし雛を納めけり中村 常子
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定まらぬ風に挑みし吹き流し苅野 玲子
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亡き父の贈り物かも帰り花安達久美子
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雲雀鳴くひときは高きところより苅野 節子