ひもんや俳壇平成二十七年度
2016年1月号
平成二十七年度
ひもんや俳壇賞
黒澤三主寿 選
※「ミモザ会」は特別作品として選外とさせていただきました
大賞
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老いてなほ今年こそはと初詣安藤 虎雄新しい年を迎えて、願い事や決意を胸に初詣。年を重ねてなお、今年こそは…と、その積極的な気持がすばらしい。きっと叶えたい、大きな夢をお持ちなのでは…と元気づけられる、明るくお正月らしい句である。
次席
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父の日の無き頃の父想ひけり苅野 節子昔は「父の日」などなかった。毎日が「父の日」だったのかも知れない。一九五十年頃、アメリカから広まり、八十年代に一般的な行事となった。その「父の日」が無かった頃の、父親の威厳ある姿が目に浮かんで来るようだ。
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黒揚羽いつもどきりと現はるる服部嘉奈子美しい黒い艶の翅の、激しさと強さを持った黒揚羽。現れるといつもどきりとしてしまう。そのどきりとした気持ちが伝わってくる句。
ひもんや診療所・院長賞
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吉報のメールに涙春日向畔柳 葉子吉報のメールは合格?それとも…。おめでたい知らせに思わずうれし涙。春の日差しの眩しさの中で。
秀作
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バレンタイン本命のチョコ供へたり鈴木恵美子
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我が庭をかき回しをり鯉幟廣門登喜子
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蝉しぐれ園を掃く人憩ふ人藤田 静枝
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水槽を預け旅立つ夏休み市川須美子
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待春や繰り返し見る旅雑誌安達久美子
佳作
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境内に寄り添ふごとく紅白梅富所 敬子
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美容師の手際の良さや春うらら滝口 智子
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べに色のつぼみ三角チューリップきりいのぞみ
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十薬の白をきはめてはびこりし畑山 則子
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ネクタイのまだ初々し柿若葉柴崎 英子
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八幡宮寒に入りたる静けさよ久保田光江
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日は西へ森の奥よりかなかなと川部 義明
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パーラーのお子様ランチさくらんぼ仲島 信
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真っ先に母に供へし新茶かな石井 昭子
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花の茶屋コヒーの香に一休み譲原 節子
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なつかしき神田祭と人の波仲村 常子
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湯豆腐を好む齢となりにけり苅野 玲子
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花種を蒔くや戦後も七十年渡辺 幸江
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春塵や雑巾片手の母のこと千葉ゆり子