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2014年1月号掲載記事

血尿は泌尿器系の赤信号

健診で血尿を指摘される患者さんは多くいらっしゃいます。

赤いおしっこが出たいうことでご来院される患者さんも少なくありません。

血尿は泌尿器系の病気に気がつく、もっとも身近な兆候です。

血尿の原因1〜 全身性の病気と腎臓の病気

尿は体の水分や成分バランスを保ち、老廃物を排出するために、腎臓の糸球体というところで作られます。

イメージとしては、糸球体にはいろいろな大きさのザルがあって、血液中の必要なもの、いらないものをうまく濾し分けて、きれいにした血液を身体に戻し、尿を外に排泄していると考えてください。

赤血球は身体に必要なものですから、尿には出てこないはずですが、

  1. 血液中に老廃物とみなされるような異常な血球がある場合
  2. 糸球体に異常がある場合
  3. 糸球体が壊れたり、濾しきれない血液が流れてきた場合

血液の混じった尿が作られてしまいます。

  1. 異常な血球による血尿は、全身性の血液系の病気(溶血性疾患)や筋肉の病気(横紋筋融解)が原因です。多くは血尿以外の症状も伴っています。
  2. 糸球体の異常、すなわちザルの異常による病気には、急性糸球体腎炎、IgA腎症、膜性腎症などが考えられます。これらの病気は蛋白質を濾すザルもうまく働かないことが多いので、尿検査で尿たんぱくも陽性の場合には腎臓の異常を疑います。
  3. 糸球体が壊れて尿に血液が出てきてしまう原因として多いのは、外傷です。交通事故で腰を打ったり、空手の選手が背中を蹴られて真っ赤なおしっこが出ることがあります。また腎臓の血管の異常で、濾しきれない量の血液が糸球体に流入して、血尿が出る場合もあります。(ナットクラッター症候群)

血尿の原因2 〜 尿路系の病気

作られた尿は、腎盂という漏斗に集められ、尿管を通って膀胱に貯められます。尿が一定量たまると尿意を催し、尿道から外に排出されます。おしっこの通り道である尿路(腎盂〜尿管〜膀胱〜尿道)に出血があると、血尿が出ます。

尿路に出血をきたす原因として

  1. 尿路結石
  2. 尿路感染
  3. 尿路の腫瘍

が、考えられます。

  1. 尿路結石は腎盂で尿中のカルシウムや尿酸などが結晶を作る病気です。結石は腎盂や尿管を傷つけ血尿を生じます。結石は腎盂でじっとしている場合には、それほど痛みはありませんが、尿管に落ちてきて引っ掛かると激痛を生じます。いわゆる尿管結石です。
  2. 尿路感染の多くは、外界に接している尿道からばい菌が入り、逆行性に膀胱、尿管、腎盂に炎症が広がります。炎症をおこした尿道や膀胱の粘膜から出血するために、血尿を生じます。女性が膀胱炎など尿路感染をおこしやすいのは、男性より尿道が短いので菌が入りやすく、トイレ事情からおしっこを我慢することが多いので、菌が繁殖しやすいためです。
  3. 腫瘍の組織はもろいので出血しやすいため、尿路系腫瘍の多くは血尿をきたします。尿路系の腫瘍はよほど大きくならない限り症状が出にくいので、血尿は膀胱がんなど尿路系腫瘍を早期発見する重要なサインです。

当院では、血尿の患者さんに対して、上記の病気の可能性を考えて、一般の尿検査に加え、尿細胞診、腹部超音波検査を行ない、必要に応じて腎臓専門医、泌尿器科専門医に紹介しています。