ひもんやだよりWEB版
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ひもんや内科消化器科診療所
〒152-003 目黒区碑文谷2丁目6-24
TEL.03‐5704‐0810
2017年10月号掲載
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炭水化物を減らして、コーヒーを飲もう!
炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇、コーヒーの摂取量が多いと総死亡率が低い

炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇

カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan氏らが、5大陸18ヵ国で全死亡および心血管疾患への食事の影響を検証した結果、炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇と、また総脂質(総脂質と種類別[飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸])の摂取は全死亡リスクの低下と関連する。さらに総脂質および脂質の種類は、心血管疾患(CVD)、心筋梗塞、CVD死と関連していないが、飽和脂質は脳卒中と逆相関していることが確認されたと報告した。

研究グループは、2003年1月1日~2013年3月31日に、高所得国(カナダ、スウェーデン、アラブ首長国連邦)、中所得国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、中国、コロンビア、イラン、マレーシア、パレスチナ自治区、ポーランド、南アフリカ、トルコ)、低所得国(バングラデシュ、インド、パキスタン、ジンバブエ)の計18の国・地域において、35~70歳の13万5,335例を登録し、食事摂取量を食事摂取頻度調査票(FFQ)により調査した後、中央値7.4年(IQR:5.3~9.3)追跡した。

炭水化物、脂質およびタンパク質の摂取量を、エネルギー比に基づき5分位で分類し、追跡期間中に、死亡が5,796例、主要心血管イベントの発生が4,784例記録された。 炭水化物は、摂取量が多いほど全死亡リスクが高く、一方、脂質は総脂質および種類別のいずれも、摂取量が多いほど全死亡リスクは低かった。また、飽和脂肪酸は、摂取量が多いほど脳卒中のリスクが低い関連が認められた。

(Dehghan M, et al. Lancet. 2017 Aug 28. [Epub ahead of print]より)

コーヒーの摂取量が多いと総死亡率が低い

欧州10カ国でコーヒー摂取量と総死亡、死因特異的死亡の関係を調べた仏International Agency for Research on CancerのMarc J. Gunter氏らは、コーヒーを全く飲まない人に比べ、飲む量が多い人の総死亡率と消化器疾患死亡率が有意に低かったと報告した。

対象は、欧州10カ国(デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、英国)の一般市民で、条件を満たした45万1743人(男性13万662人と女性32万1081人)を対象に行った。コーヒーの摂取量は、食物摂取頻度調査または直接インタビューを行って調べた。また、ライフスタイル質問票を用いて、学歴、喫煙、飲酒習慣、身体活動量などに関する情報を収集した。ベースラインのコーヒーの摂取量に基づいて、国ごとに対象者を層別化した。まず、全く飲まないグループ(参照群)を除外し、残りの人々を四分位群にわけた。

平均16.4年の追跡で、4万1693人(男性1万8302人、女性は2万3391人)が死亡していた。うち1万8003人が癌死亡で、9106人が循環器疾患、2380人が脳血管疾患、3536人が虚血性心疾患、1213人が消化器疾患、1589人が呼吸器疾患、1571人が外傷性の死亡で、418人は自殺により死亡していた。 コーヒーを飲まない人に比べ、最高四分位群の総死亡リスクは有意に低かった。多変量Cox比例ハザードモデルを用いて推定した調整ハザード比は、男性が0.88(95%信頼区間0.82-0.95)、女性は0.93(0.87-0.98)だった。コーヒー1杯を237mLとすると、摂取が1カップ増加当たりのハザード比は、男性が0.97(0.96-0.98)、女性は0.99(0.98-1.00)になった。

欧州では国ごとに、好まれるコーヒーの抽出方法が違っている。しかし、各国のコーヒー摂取量と総死亡との関係に差は見られなかった。

コーヒーの摂取は、消化器疾患による死亡のリスク低減とも関係していた。男性のハザード比は0.41(0.32-0.54)、女性では0.60(0.46-0.78)で、摂取が1杯増加当たりのハザード比は、男性が0.77(0.72-0.81)、女性は0.86(0.81-0.92)だった。

女性では、コーヒーの摂取は、循環器疾患死亡(ハザード比0.78、0.68-0.90)、脳血管疾患死亡(0.70、0.55-0.90)のリスク低減と、癌死亡(1.12、1.02-1.23)と卵巣癌死亡(1.31、1.07-1.61)のリスク上昇に関係していた。

(「Coffee Drinking and Mortality in 10 European Countries: A Multinational Cohort Study」Ann Intern Med誌より)

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