ひもんやだよりWEB版
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ひもんや内科消化器科診療所
〒152-003 目黒区碑文谷2丁目6-24
TEL.03‐5704‐0810
2017年08月号掲載
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予防接種は「同時接種」をうまく利用しましょう

今年4月、品川区のクリニックで複数のワクチンの「混合接種」が行われていたことが問題になりました。 ワクチンの混合接種とは、複数のワクチンを混ぜて1回で接種する方法です。

現在国内では、四種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)、二種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風)、MRワクチン(麻疹、風疹)が承認されており、混合されたワクチンのキットが供給されていますが、それ以外のワクチンを医療機関で勝手に混合して接種することは認められていません。 ワクチンは、不活化や弱毒化されたウイルスや毒素を接種することで、免疫系に刺激を与えて、感染を防御する抗体を身体に作らせることで効果を発揮します。接種により身体がうまく反応しなければ免疫はできないので、反応を起こさせるために製剤に工夫が凝らされています。キット化された混合ワクチンは、混合することで身体の反応が変わらない、ということが確認された製剤ですが、それ以外のワクチン混合については、有効性が確認されていないのです。今回の品川区の事例でも、混合接種された人は、有効な抗体価保有率が低かったことが報告されています。

混ぜると効果が落ちる理由は様々ですが、ビールとワインと焼酎を混ぜて呑んでおいしいと感じるかどうか?に近いとおもいます。

現在、3歳未満対象の予防接種は15種あり、うち目黒区の公費接種ワクチンだけでも12種あり、4種混合とMRをそれぞれ1つとしても、8種です。これを生ワクチンであれば中28日、不活化ワクチンは中6日あけて複数回接種していかなくてはならないわけですから、1つずつ接種していたのでは間に合わなくなります。 そこで当院では「同時接種」を推奨いたします。

ワクチン「同時接種」は複数のワクチンを同時に接種する方法で、ワクチンは混ぜずに、1種(混合ワクチンは1種とカウント)ずつ、右上腕、左上腕、右大腿、左大腿のように場所を変えて連続して同時に接種します。針を刺される回数が増えるのでちょっとかわいそうですが、「同時接種」はどの組み合わせで、何種同時に接種しても単独接種と同等の効果が得られる、ということ確認されています。

であれば、中28日や中6日あけずに接種してもよさそうなのですが、これについては有効性が確認されていないので、行えません。ビール、ワイン、焼酎と連続して呑めば、気持ちよく酔えますが、焼酎を呑んで二日酔いの翌日にビールを呑んでもおいしくない、みたいな感じです。

ワクチン「同時接種」をうまく利用して、予防接種スケジュールを立ててください。

大人のインフルエンザ、肺炎球菌、帯状疱疹(水痘)等の同時接種も問題ありません。

肺炎球菌.jpサイトよりスケジュール表(PDF)をダウンロードできます。

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