ひもんやだよりWEB版
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ひもんや内科消化器科診療所
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2017年02月号掲載
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長生きしたければ、ダイエット!

「早期死亡リスクが最も低い人の特徴」のタイトルで、イギリス医師会雑誌(BMJ:British Medical Journal)2016年11月24日号に興味深い記事が載っていたのでご紹介します。

BMI値範囲が18.5~22.4で、代替健康食指数(AHEI)が高く、身体活動度が高値で、飲酒は適度、たばこは吸わない人が、最も早期死亡リスクが低いことが、米国・ワシントン大学のNicola Veronese氏らによる、医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-up Study)と看護師健康調査(Nurses’ Health Study)の男女2つの大規模な前向きコホート研究の結果、明らかにされた。また、BMIが高値でも、1つでも低リスクの生活習慣因子を有していれば早期死亡リスクは減らせることも示された。先行研究で、やせ型の人は、代謝系の健康度が高く、2型糖尿病、心血管疾患、がん、全死因死亡のリスクが低いことが示されている。一方で、複数の疫学研究のデータで、過体重および軽度肥満でも、死亡リスクは減少することが示唆されていた。

4つの生活習慣因子とBMIの組み合わせについて、死亡リスクとの関連を調査

研究グループは、4つの生活習慣因子(食事・身体活動・飲酒・喫煙)と体重の組み合わせについて、全死因死亡および疾患特異的死亡のリスクとの関連を評価する検討を行った。看護師健康調査は1980~2012年、医療従事者追跡調査は1986~2012年に行われ、32年間のフォローアップが完了。参加者はそれぞれ7万4,582例(女性)、3万9,284例(男性)であり、いずれもベースラインで心血管疾患、がんを有していなかった。

曝露因子にBMI、代替健康食指数スコア、身体活動度(時間/週)、喫煙習慣(現在喫煙有無)、飲酒量(g/日)などを含み、死亡(全死因、心血管疾患、がん)をアウトカムとして評価した。Cox比例ハザードモデルを用いて、全死因死亡、がん死、心血管死の補正後ハザード比(HR)を95%信頼区間(CI)とともに、BMI値の分類群(8群に分類、参照値群は22.5~24.9)について算出した。

BMI値と死亡との関連評価では、生活習慣を考慮することが重要

32年間のフォローアップの間に、死亡は3万13例(がん死1万808例、心血管死7,189例)であった。

BMI値の4つの分類群(18.5~22.4、22.5~24.9、25.0~29.9、30.0以上)の検討において、いずれの群でも健康的な生活習慣因子が1つ以上ある人は同因子がまったくない人に比べて、全死因死亡、心血管死、がん死のリスクが有意に低かった。

また、低リスクの生活習慣因子が3つ以上ある、BMI値が18.5~22.4の人が、同因子が4つのうち1つもなく、BMI値が参照値の人と比べて、全死因死亡、がん死、心血管死のリスクがいずれも最も低かった。それぞれHR(95%CI)は、全死因死亡0.39(0.35~0.43)、がん死0.40(0.34~0.47)、心血管死0.37(0.29~0.46)であった。

結果を踏まえて著者は、「BMI値と死亡との関連の評価では、食事と生活習慣因子を考慮することが大切である」とまとめている。

ちなみに、BMI(ボディー・マス・インデックス)は、体重と身長の関係から人の肥満度を示す体格指数です。

1835年にベルギーのアドルフ・ケトレーは、統計手法を導入して、人の身長に対して適正体重と実際体重を比較するボディマス指数(BMI)を提案しました。

BMI指数は、22の時に最も病気になりにくくなります。

肥満度が高くなると、生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症)の確率が高くなります。 日本肥満学会では、統計的にもっとも病気にかかりにくいBMI指数22を標準体重として、25以上の場合を肥満、18.5未満を低体重としています。

これを裏付ける基礎研究として、米国立加齢研究所とウィスコンシン大の共同チームが、2017年1月17日付の英科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に発表した論文を紹介します。

カロリーが適度に少ない食事をサルに長期間与えると、健康を向上させて寿命を延ばす効果がみられた。 「人でも同じ効果があるのではないか」とみている。

栄養不足にならない適度なダイエットで寿命が延びるかどうかは長年の論争の的だった。国立加齢研究所とウィスコンシン大はサルを使った研究で、2009年と12年にそれぞれ異なる結果を示していたが、互いのデータを詳細に分析した結果「寿命を延ばす効果あり」と結論を出した。

若いサルより年齢が高いサルの方がカロリー制限による効果が高かった。

両機関の研究は200匹近いアカゲザルを使い、通常よりもカロリーが少ない食事を与えて健康状態や寿命を20年以上にわたって観察した。当初の結果が異なったのは、実験対象としたサルの健康状態や食事内容、年齢層などに違いがあったのが理由とチームはみている。

いかがでしょう? 1月号の報告ともあわせると「楽天的にダイエット」、が長生きの秘訣と言えそうです。

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