ひもんやだよりWEB版
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ひもんや内科消化器科診療所
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TEL.03‐5704‐0810
2016年02月号掲載
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膵臓がんに、朗報!!
明るいニュース3件

がんの予防、早期発見、治療方法が進歩し、長期生存する方も珍しくなくなっている中、膵臓がんの5年生存率は7%と、部位別のすべてのがんの中でで最悪です。

11年に新たに膵臓がんと診断された人は約3万3千人、14年の死亡者は3万2千人で、がんの中では肺、胃、大腸に次いで4番目に多く、若い世代での死亡も少なくありません。

50代の有名ジャーナリスト膵臓がんと闘いながら亡くなったことも、記憶に新しいこととおもいます。

膵臓がんが恐ろしい原因は、*予防法がないこと、早期発見がきわめて難しいこと、治療が難しいことにあります。

そのような状況の中、膵臓がん対策に3件の朗報がとどきましたので、ご紹介いたします。

早期発見のためのマーカー
「アポリポプロテインA2アイソフォーム」

国立がん研究センター研究所の本田一文ユニット長らは血液中の特定のたんぱく質を調べ、膵臓(すいぞう)がんを早い段階で発見する手法を開発した。従来の血液検査では難しい早期の膵臓がん患者を見つけることができる。検査キットも開発済みで、年内にも1万人規模の検証を始め、実用化を目指す。

研究チームは膵臓がん患者の血液に含まれる物質を調べた。たんぱく質「アポリポプロテインA2アイソフォーム」の濃度ががん進行とともに下がることを突き止めた。

このたんぱく質を検出するキットを作り、約900人を対象に研究を実施。画像検査などで見つかった早期がんを含めた進行段階が異なる膵臓がん患者、健康な人、食道がん患者などを比べた。

たんぱく質をマーカー(目印)にすると、従来の血液中の目印を使うよりも早い段階で膵臓がんを見分けられることが分かった。血液検査で膵臓がんの疑いがある場合、コンピューター断層撮影装置(CT)などの画像診断によって確定診断することになる。

本田さんは「既存の検査との組み合わせでより発見ができる可能性がある」としており、「3年以内に(実用化となる)体外診断薬の承認を目指したい」と話す。

魚を食べるとすい臓がんリスク減

魚に含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)などの不飽和脂肪酸を多く摂(と)る人は、少ない人に比べてすい臓がんを発症するリスクが3割低いという調査結果を国立がん研究センターがまとめ、発表した。

がん既往歴のない45~74歳の男女8万2024人を対象に、最長で15年間追跡調査した。不飽和脂肪酸とすい臓がんの発症リスクの関連を調べるために、マグロ、ブリ、サバ、イワシ、アジ、イカ、タコなどの魚介類を日々の食生活で摂っている割合に応じて、対象者を4つのグループに分けた。期間中にすい臓がんを発症した人は449人だった。

その結果、DHAの摂取量の最も多いグループ(1日あたり1グラム前後)は、最も少ないグループ(同0.3グラム前後)に比べ、すい臓がんの発症率が約30%低かった。

すい臓がんは、自覚症状がほとんどなく、発見された時はかなり進行しているケースが多い。たばこや肥満、糖尿病などの生活習慣病が発症リスクを高めることが知られている。特に糖尿病に人が発症するリスクは1.8倍以上だ。食事との関連の研究はこれまでなかった。

DHAの含有量はマグロが飛びぬけて多く、100グラム当たり2.8グラム。続いてブリ(1.8グラム)、サバ(1.7グラム)、サンマ(1.4グラム)、ウナギ(1.3グラム)、イワシ(1.1グラム)など。こうした魚を1日1回食べるだけで、1グラム以上を摂取できる。

研究チームの島津太一・同センター予防研究部室長は「魚を多く食べる日本人で初めて調査した研究で、魚が予防に寄与できることが示されました」と語っている。

マグネシウムは膵臓がんを予防する可能性がある

米国の研究によると、マグネシウム摂取量が100ミリグラム減少するにつれて、膵臓がんリスクは24%増加する。

十分な量のマグネシウムを摂取することで膵臓がんを予防できる可能性がある。これは米国の研究結果であり『British Journal of Cancer』に発表された。マグネシウム摂取量が低下する と、このタイプのがんを発症するリスクが高くなる。

糖尿病は膵臓がんの危険因子と見なされており、マグネシウムは糖尿病と逆相関する。そのため、インディアナ大学(ブルーミントン市)の研究者らは、マグネシウムが膵臓がんの発生を予防するか否かを見出したいと考えた。研究者らは、「ビタミンとライフスタイル(VITAL)」研究に参加した66,000人以上(50~76歳)のデータを解析した。このうち151人が膵臓がんを発症していた。

研究者らは解析を行い、膵臓がんとマグネシウム摂取との直接的な関連性や、年齢、BMI、性別、非ステロイド性抗炎症薬またはマグネシウムサプリメントの使用が何らかの影響を及ぼすかどうかを調べた。その結果、マグネシウム摂取量が100ミリグラム減少するごとに、膵臓がんのリスクが24%増加したことが分かった。年齢、BMI、性別、非ステロイド性抗炎症薬は影響を与えず、膵臓がんとマグネシウム摂取の関連性はマグネシウムサプリメントを摂取している人のみに見られた。

「膵臓がんリスクが高い人にとって、食事にマグネシウムサプリメントを追加することが、この疾患を予防する上で有効であると立証できる可能性があります」と研究主任のDaniel Dibaba氏は述べた。

一般集団は食事によって十分な量のマグネシウムを摂取するべきである。

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