ひもんや俳壇

ひもんや俳壇 2014

平成25年 ひもんや俳壇賞

大賞

  • 本日休診先生のサングラス
    柴崎 英子
  • 先生はいつもお忙しい。地域の健康を預かっているからである。
    先生はまた地域の名士でもあるから、休診の日のお出掛けにはサングラスが不可欠なのかも知れない。
    別人のごとくにお似合いですよ。たよりにしています。先生。

次席

  • ジャズの音流るる夜のアマリリス
    武井 康子
  • 若々しい句である。そして何よりモダン。
    銀座でしょうか。それとも新宿。混み合う夜の喫茶店にはアマリリスの花がよく似合います。

次席

  • 連休のあるやなしやと初暦
    苅野 玲子
  • 初暦を手にして先ず連休のあるなしを確かめたのである。
    今年は何処へ行こうか。家族旅行の夢がふくらみます。
    新鮮な発想が共感を呼ぶ。

ひもんや診療所・院長賞

  • 初夢のさだかならぬを惜しみけり
    久保田光江
  • とても素晴らしい夢を見ていたような・・・でもよく思い出せない。
    一寸残念な、こんな経験はよくあります。まして初夢ならばなおのこと。
    いったいどんな初夢だったのでしょう。なんだか気になります。

秀作

  • こどもたちおちばのおみせひらいてる
    きりいのぞみ
  • 冬晴や威風堂々解脱門
    木村由貴子
  • 馬の足跣の目立つ村芝居
    渡辺 幸江
  • 盆詣兄に供へし一句かな
    川部 義明
  • 群衆の一人ぞ我も酉の市
    佐々木 弘

佳作

  • 白銀の富士仰ぎ見る三ヶ日
    川喜田秀雄
  • 毎日の椅子取りごっこ椋鳥飽きず
    原 良
  • 節分の豆まく夫の声小さき
    富所 敬子
  • 地の小人玻璃の階積む霜柱
    戸田 徳子
  • 松の内すぎてやさしき粥の味
    矢代アリサ
  • 冴返る空に鐘塔屹立す
    三浦 尚子
  • 白梅の香りほのかに杜の径
    滝口 智子
  • 生きのびし戸惑ひもあり夏の雲
    村田エイ子
  • 公園でさくらふぶきをキャッチする
    森おかゆう子
  • 町中が雛で埋まる町おこし
    安藤 虎雄
  • いつまでも生きる気がする若葉風
    小澤孝ん子
  • 十薬のお茶となる日を軒先に
    飯田久美子
  • 積む落葉ざくざく蹴りて登校す
    廣門登喜子
  • 年の豆数へて渡す小さな手
    森崎 富貴
  • 駆ける子に母追ひつけず春の風
    吉田 新子
  • 赤とんぼ朝の運河を染めにけり
    仲島 信
  • 思ひきり紫陽花を剪り秋を待つ
    藤田 静枝
  • 巳の年は八回目なる年男
    山形 定房
  • 願ひごとあまたかかへて伊勢参り
    千葉ゆり子
  • 楼門の朱を引き立てて若楓
    安達久美子
  • 凌霄の花房ゆれる曲り角
    苅野 節子
  • 旧館を覆ひ尽して蔦紅葉
    清水 悠子
  • 返事すぐ書きたき便り秋の夜半
    畑山 則子

1月号

一般投句

  • 立冬の空青くして富士白き
    富所 敬子
  • また同じ話聞きゐる小春かな
    戸田 徳子
  • クリスマスイルミネーション夢の街
    滝口 智子
  • ボールけり坂くねくねと小鳥来る
    桐井 希海

向原喜楽会・不動会

  • 秋日和水琴窟を楽しめり
    安藤 虎雄
  • 赤い羽根つけてニュースを読み上げる
    小澤孝ん子
  • 秋日和お地蔵さまを磨く列
    柴崎 英子
  • 赤い羽根紳士も子らも胸張って
    武井 康子
  • 蘊蓄を聞きつゝ初の茸狩
    飯田久美子
  • 秋日和ゆっくりと押す車椅子
    久保田光江
  • 寝るにはあまりにも惜し今日の月
    鈴木恵美子
  • 雨だれに頷き通し秋海棠
    笹島美和子
  • 八十路坂越えても元気紅葉狩
    廣門登喜子
  • 一人聴く補聴器越しの虫の声
    森崎 富貴
  • 新米に味噌汁熱く朝餉かな
    吉田 新子
  • 庭隅に見知らぬ小鳥啄める
    川部 義明
  • 鴫立つや運河にネオン映り初む
    仲島 信
  • 柿を誉め柿もてなさる大和みち
    藤田 静枝
  • 一群の小鳥一樹に納まりぬ
    黒澤三主寿

竹の子会

  • 総理にも秘書の求めし赤い羽根
    苅野 玲子
  • 夫の彫る観音像や秋の風
    渡辺 幸江
  • まてば椎廻らなくても可愛らし
    千葉ゆり子
  • ぐい呑みを持つ指先に酢橘の香
    安達久美子
  • 初りんご頬赤らめて店先に
    苅野 節子

わかみどり会

  • 末枯の中に何やら草の色
    清水 悠子
  • 木の股の干大根も象牙色
    畑山 則子 

ミモザ会

  • つくばひにひと葉を込めて初氷
    佐々木巴里
  • 山茶花の散りゆくことに未練なく
    三国 紀子
  • 弾まざること美しく加賀手毬
    石橋万喜子

2月号

一般投句

  • 座敷ごと年賀の宴華やぎし
    富所 敬子
  • 寒菊や老いの自律をこころして
    戸田 徳子
  • 凛として晴れ着まとひし雪灯籠
    木村 遊風
  • バルコニー一面の鉢冬日射す
    滝口 智子
  • 真冬には花が少なくさみしいな
    森丘 裕子
  • 町中はハロウィン近しかぼちゃ色
    桐井 希海

向原喜楽会・不動会

  • ハミングの娘の菓子を焼くクリスマス
    安藤 虎雄
  • 空高く投げ打つやうに大根干す
    小澤孝ん子
  • 百本の不揃ひなりし懸け大根
    柴崎 英子
  • 山茶花のこぼるゝところ今宵宿
    武井 康子
  • 小春日にあまへてゐたき読書して
    飯田久美子
  • 山茶花に迎へられたりベルを押す
    久保田光江
  • トンネルを抜け錦秋の嶺々展け
    鈴木恵美子
  • 兄嫁に託す生家や干大根
    笹島美和子
  • 大根の煮込んだうまさべっ甲いろ
    廣門登喜子
  • 髪結うてポーズを決める七五三
    森崎 富貴
  • 番傘を相合傘に初しぐれ
    吉田 新子
  • 特売の大根の山に人だかり
    川部 義明
  • つぎつぎと時雨雲来る日本海
    仲島 信
  • 路地裏に声はなやかや菊談議
    藤田 静枝
  • 朝市に引きしばかりの泥大根
    黒澤三主寿

竹の子会

  • はらはらと渓に呑まれて散紅葉
    苅野 玲子
  • 遺されしぬくもり勤労感謝の日
    渡辺 幸江
  • 芭蕉忌に集へば肩に小雨落つ
    千葉ゆり子
  • 京市場最前列に酸茎あり
    安達久美子
  • 芭蕉忌や広葉を叩く雨の音
    苅野 節子

わかみどり会

  • 水鳥の群れに鴎の混じりをり
    畑山 則子
  • 特大の靴下をさげクリスマス
    清水 悠子

ミモザ会

  • スカートがふはりとみだれ春一番
    佐々木巴里
  • 梅探るゆっくり登る女坂
    三国 紀子
  • 文よみて胸のふくらむ春の雪
    石橋万喜子

3月号

一般投句

  • 孫にやる年玉袋宝船
    富所 敬子
  • 寒牡丹白ひといろを極めけり
    戸田 徳子
  • お仲間の出来ちぎり絵の初稽古
    滝口 智子
  • つばきさく空気きれいないなか道
    桐井 希海

向原喜楽会・不動会

  • クリスマスケーキ抱へて父帰る
    安藤 虎雄
  • 這ひ這ひの出来しクリスマスツリーまで
    小澤孝ん子
  • 人波に人呑まれゆく十二月
    柴崎 英子
  • 堂内の煤払ふ僧たくましく
    武井 康子
  • キャンドルを掲げナースの聖夜かな
    飯田久美子
  • 日本に新島クリスマスプレゼント
    久保田光江
  • わけもなく追はるゝ心地十二月
    鈴木恵美子
  • トラックで運ばれてゆく大聖樹
    笹島美和子
  • 卓袱台に聖菓八つに切りし頃
    廣門登喜子
  • 短日のせかるる心立話
    森崎 富貴
  • 午後の日を散らし散る散る大銀杏
    吉田 新子
  • 大熊手売れて祝ひの手締めかな
    川部 義明
  • 今年こそこのセーターを仕上げねば
    仲島 信
  • 落葉追ふ犬のリードのぴんと伸び
    藤田 静枝
  • 数へ日のすっかり忘れゐし一事
    黒澤三主寿

竹の子会

  • すきま風酔ひのほてりを醒ましけり
    苅野 玲子
  • 隙間風小言までもが割り込んで
    渡辺 幸江
  • 宿坊の廊下の軋みすきま風
    千葉ゆり子
  • 忘年会馴染の店の小上りで
    安達久美子
  • 長廊下戸袋からの隙間風
    苅野 節子

わかみどり会

  • 突堤を越えし荒波冬ざるる
    畑山 則子
  • クリスマス見慣れし夫にプレゼント
    清水 悠子 

ミモザ会

  • 山笑ふ甲府盆地は日にあふれ
    佐々木巴里
  • 空っ風会話の端を攫ひゆく
    三国 紀子
  • 種袋ふれば土恋ふ音がする
    石橋万喜子