ひもんや俳壇

ひもんや俳壇 2013

平成24年 ひもんや俳壇賞

大賞

  • 今日だけは江戸っ子となる初鰹
    鈴木恵美子
  • 『目には青葉山ほととぎす初鰹 素堂』だれでもよく知っている句である。季節のはしりとして江戸時代より珍重されてきた初鰹。たとえ女房を質に置いても初鰹をとの江戸っ子の心意気だが、平成の今もこれは受け継がれているらしい。
    今日だけは江戸っ子となって高価なはしり、初鰹を買ったのである。
    今日だけが良い。

次席

  • 春立つやひいばあさんとなりにけり
    森崎 富貴
  • ひいばあさん、つまり孫の子が生まれたのである。近頃の老人は若い。
    平均寿命が伸び、まだまだ元気で現役の方が、意外や意外、ひこまごを抱いて居られたりする。
    立春は節分の翌日だが、誠に春たち帰る思い。季節がぴったりである。

次席

  • 井戸水にあれこれ冷やし夏館
    安達久美子
  • 故郷の景であろうかそれとも別荘。堀抜き井戸ならば吊るした西瓜やらトマトやら。それに盥にはビール。一読、開け放した縁を涼風が吹き抜けるようだ。 夏館で決まりである。

ひもんや診療所・院長賞

  • ロンドンへ声援暑き夜となれり
    千葉ゆり子
  • 「ロンドンオリンピック」での日本選手の活躍はメダル三十八個というすばらしいものでした。 連日、眠さを忘れての熱い声援は、暑い夜をますます暑くした。あの凱旋パレードの、銀座の賑わいまでが目に浮かんで来る句です。

秀作

  • お祓ひのきょろきょろ余所見七五三
    安藤 虎雄
  • 海開いつもの海と思へども    
    小澤孝ん子
  • 足らなきは足らなきまゝに年用意 
    武井 康子
  • 甚平をまだ着たがらぬ夫であり  
    吉田 新子
  • 短命な姉でありしよ彼岸花    
    佐々木 弘

佳作

  • 雨止みて月白々と冬に入る     
    川喜田秀雄
  • 待つほどは音の遅れず遠花火    
    原  良
  • 退院の朝咲きくれし花菖蒲     
    富所 敬子
  • 新米のきらめき災禍忘れまじ    
    戸田 徳子
  • 隅田川澄みて映せる武蔵の塔    
    矢代アリサ
  • マフラーがかわいく風におどってる 
    森おかゆう子
  • 母の日にママ大すきとえてがみを  
    きりいのぞみ
  • 毛筆の律義な賀状もう来ない    
    半澤ハツ子
  • 坪庭の小さな景色虫時雨      
    柴崎 英子
  • 剪り供ふ千両の実の重さかな    
    飯田久美子
  • 数え日の昨日も今日もまたたく間  
    久保田光江
  • 鈴虫に夜を盗られて仕舞ひけり   
    廣門登喜子
  • 虫時雨森の奥より押し寄せ来    
    川部 義明
  • 充分に努め果たして秋簾      
    宇都宮義長
  • 鮎を釣る竿をすべりし日の光    
    仲島 信
  • 庭隅の紅白梅の咲き競ふ      
    西嶋 邦夫
  • 蝋梅に春待つ心託しけり      
    山形 定房
  • 雨止みし報せのごとく囀れり    
    苅野 玲子
  • 女王の威厳を乗せて夏の川     
    渡辺 幸江
  • 鬼の面付け抱かれる子節分会    
    苅野 節子
  • どこまでも河津桜の道つゞく    
    浅田 智子 
  • 念入りな肌の手入れも冬支度    
    清水 悠子
  • 思はざるときに佳きこと福寿草   
    畑山 則子

1月号

一般投句

  • 毎日の椅子取りごっこ椋鳥飽きず      
    原  良
  • 坂下のマンション前に花八手        
    富所 敬子
  • 芭蕉忌やひとり芝居の役者凛        
    戸田 徳子
  • こどもたちおちばのおみせひらいてる    
    きりいのぞみ

向原喜楽会・不動会

  • さざなみの寄せくるごとし芒原      
    安藤 虎雄
  • 冷まじや五百羅漢の仏たち         
    小澤孝ん子
  • 裏参道おちょぼ口した石榴かな       
    柴崎 英子
  • 日和よく祝の膳に菊膾           
    武井 康子
  • 空砲の冬めくひゞき富士裾野       
    飯田久美子
  • 濤音に運ばれて来し秋の声         
    久保田光江
  • 渡りきし白鳥の群田に遊ぶ         
    鈴木恵美子
  • 縁日は雨でしたよと落葉掻く        
    笹島美和子
  • こぼれ萩吟行の道白く染め         
    廣門登喜子
  • 好天の秋を惜しめる飛行雲         
    森崎 富貴
  • 八甲田山薄紅葉して遭難碑         
    吉田 新子
  • 彼岸花地蔵のそばに並びたつ        
    川部 義明
  • 群衆の一人ぞ我も酉の市          
    佐々木 弘
  • 峠茶屋客を迎へる芒かな          
    宇都宮義長
  • 子の平癒願ふ神前木の実落つ        
    仲島  信
  • 百態の羅漢に百の秋思かな         
    黒澤三主寿

竹の子会

  • 敗荷や見むきもされぬ身をさらし      
    苅野 玲子
  • 湯けむりに薄紅葉して鳴子峡        
    渡辺 幸江
  • 学童の家路に釣瓶落しかな         
    千葉ゆり子
  • 人を待つ釣瓶落しの時計台         
    安達久美子
  • 語らへば釣瓶落しやクラス会        
    苅野 節子

わかみどり会

  • 雪が降るアダモの歌がふと耳に       
    清水 悠子
  • 揺れ残る遊具の軋み秋夕焼         
    畑山 則子

ミモザ会

  • ゆづられたる席のぬくもり冬隣       
    佐々木巴里
  • 団栗を踏みつ社殿へ男坂          
    三国 紀子
  • 小春日や園児が丸く囲む保母        
    石橋万喜子

2月号

一般投句

  • 山茱萸の実揺れゐし枝のやがて地に
    川喜田秀雄
  • 芦毛塚守り主たる石蕗の花
    富所 敬子
  • 藪柑子葉裏に交すささめごと
    戸田 徳子
  • 新しい年をむかえてうれしいね
    森おかゆう子
  • あかとしろどちらもがんばれうんどうかい
    きりいのぞみ

向原喜楽会・不動会

  • 秋高しスカイツリーのなほ高し
    安藤 虎雄
  • 久々に背中伸びたる小春の日
    小澤孝ん子
  • 茶の花や母の遺せしお針箱
    柴崎 英子
  • 富士仰ぎ干大根の日に映えて
    武井 康子
  • 庭垣の茶の花風の冷えてきし
    飯田久美子
  • 帰国せし機を降り立てば冬めける
    久保田光江
  • 丹精の懸崖の菊座を圧す
    鈴木恵美子
  • 一行の声の弾けて檀の実
    笹島美和子
  • 風一ト日立冬の空拡げたる
    廣門登喜子
  • 母の齢疾うに越えたる木の葉髪
    森崎 富貴
  • 冬茜惜しめば富士のシルエット
    吉田 新子
  • 小春日や親亀子亀甲羅干し
    川部 義明
  • 冬めくや昨日に変る雲の色
    佐々木 弘
  • 口遊む小唄茶の花日和かな
    仲島  信
  • 揺れてゐる鳥籠の影花八手
    黒澤三主寿

竹の子会 

  • 甲高き百舌の叫びの空を切り
    苅野 玲子
  • 百舌高音斑鳩の里暮なづむ
    渡辺 幸江
  • 新蕎麦に舌鼓して旧友会
    千葉ゆり子
  • 銀杏散り散りて黄の色地に移し
    安達久美子
  • 新蕎麦の匂ひ小布施の街中に
    苅野 節子
  • わかみどり
  • 晴れわたり冬日のあふれたるベンチ
    清水 悠子
  • 焼芋のひとつを父に供へけり
    畑山 則子

ミモザ会

  • クルーズの部屋の聖樹に迎へらる
    佐々木巴里
  • 葉牡丹の紅白市松模様かな
    三国 紀子
  • 初夢の中にかのひと置いてきし
    石橋万喜子
  • 小夜更けて思い出たどる賀状かな
    池田 重子

3月号

一般投句

  • 白銀の富士仰ぎ見る三ヶ日
    川喜田秀雄
  • 孫達といろはがるたで白熱戦
    富所 敬子
  • 地の小人玻璃の階積む霜柱
    戸田 徳子
  • 冬晴や威風堂々解脱門
    木村由貴子
  • かれえだにまち遠しいな春の花
    森おかゆう子

向原喜楽会・不動会

  • 北風にいどむ漁師の心意気
    安藤 虎雄
  • 冬ざるゝ裏木戸鳴らす風の音
    小澤孝ん子
  • 海に向く冬ざれの丘異人墓地
    柴崎 英子
  • 雪原に白鷺の群かゞやけり
    武井 康子
  • 頑張るぞ北風の中万歩計
    飯田久美子
  • 交番の裏なる石蕗の花あかり
    久保田光江
  • 幼き手杵にそはせる餠つき会
    鈴木恵美子
  • ご意見はあと湯豆腐の動き出す
    笹島美和子
  • 積む落葉ざくざく蹴りて登校す
    廣門登喜子
  • 独り身の春支度とて急がるる
    森崎 富貴
  • すき焼きに異議なし家族忘年会
    吉田 新子
  • 寒梅に力貰ひし散歩道
    川部 義明
  • 待ち人のいまだ来たらず枯木立
    佐々木 弘
  • 猫舌の夫湯豆腐は後廻し
    仲島  信
  • 湯豆腐にまだ帰り来ぬ一人かな
    黒澤三主寿

竹の子会 

  • 目立たづも確かに咲いて枇杷の花
    苅野 玲子
  • 大和路の旅にありけり返り花
    渡辺 幸江
  • 病床の窓辺に淡く枇杷の花
    千葉ゆり子
  • 若沖の捨てがたきかな古暦
    安達久美子
  • 型番を確かめて買ふ日記かな
    苅野 節子

ミモザ会

  • 晩酌のしめは味噌汁寒しじみ
    佐々木巴里
  • 春寒し園に身を置く所なく
    三国 紀子
  • 豆撒や老いて夫も子のひとり
    石橋万喜子
  • こぶし咲くバス道今日も雨に濡れ
    池田 重子

4月号

一般投句

  • 失態は鵯籠に伏せしこと
    川喜田秀雄
  • 節分の豆まく夫の声小さき
    富所 敬子
  • 飽食の果てねんごろに目刺焼く
    戸田 徳子
  • 松の内すぎてやさしき粥の味
    矢代アリサ
  • 冴返る空に鐘塔屹立す
    三浦 尚子
  • 春隣一人ぼっちの豆料理
    瀧口 智子
  • とうめいにぬれているようはるのやま
    きりいのぞみ

向原喜楽会・不動会

  • 衝く鐘のカウントダウン淑気満つ
    安藤 虎雄
  • 雪降らす天には天の初仕事
    小澤孝ん子
  • もののふの声に父親豆を撒く
    柴崎 英子
  • 今様の春着の姿艶やかに
    武井 康子
  • 鈍色の空より生まれ春の雪
    飯田久美子
  • 初夢のさだかならぬを惜しみけり
    久保田光江
  • 生きてゐる証の賀状お互ひに
    鈴木恵美子
  • 園長に子ら雪礫矢継ぎ早や
    笹島美和子
  • しのび来る巌の如き寒さかな
    廣門登喜子
  • 佛前に供へてひとりなづな粥
    森崎 富貴
  • 雪折の一枝に道塞がるる
    吉田 新子
  • スマートホン片手に晴着初詣
    川部 義明
  • 盆梅の枝を頒ちて紅と白
    佐々木 弘
  • 健康な暮らしに感謝晦日蕎麦
    仲島  信
  • 雪踏んで花びら餅の届きけり
    黒澤三主寿

竹の子会 

  • 連休のあるやなしやと初暦
    苅野 玲子
  • 羽子板に幼きころの我となり
    渡辺 幸江
  • さてどんな羽子板市に世相見る
    千葉ゆり子
  • 羽子板を飾り生家の大広間
    安達久美子
  • 年明けし静けさ今日の街にあり
    苅野 節子

わかみどり会

  • 春めきし風にゆさゆさ大王松
    清水 悠子
  • 風邪声を会ふ人ごとに気遣はれ
    畑山 則子

ミモザ会

  • 盆梅の源平にして咲ききそふ
    佐々木巴里
  • 物の芽のぞくぞくと日に応ふかな
    三国 紀子
  • 頂上のなべて平や山笑ふ
    石橋万喜子
  • 花びらに鯉たはむるる昼さがり
    池田 重子

5月号

一般投句

  • 向ひ合ふ家の梅の木紅と白
    富所 敬子
  • 初音聴くただずまひふと糺しけり
    戸田 徳子
  • 白梅の香りほのかに杜の径
    瀧口 智子
  • 公園でさくらふぶきをキャッチする
    森おかゆう子
  • 目も口もクリスタルなりおひなさま
    きりいのぞみ

向原喜楽会・不動会

  • 春めきて老いの声さへ弾みけり
    安藤 虎雄
  • 豆撒くや日頃の憂さの捨てどころ
    小澤孝ん子
  • 二ン月の水上バスは水蹴って
    柴崎 英子
  • 名優に名残を惜しむ春時雨
    武井 康子
  • 「福は内、福は内」ばかり声高に
    飯田久美子
  • 春寒や子のひと言は反抗期
    久保田光江
  • 昨夜よりの大雪予報雨となる
    鈴木恵美子
  • 明日また舟出す話若布干す
    笹島美和子
  • 咲かす雨散らす雨あり春時雨
    廣門登喜子
  • 年の豆数へて渡す小さな手
    森崎 富貴
  • バスで来て自転車で来て梅日和
    吉田 新子
  • 春を待つ森の梢も色付きぬ
    川部 義明
  • 紅梅や少女の髪によく似合ふ
    佐々木 弘
  • 盆梅の主は知らず並びをり
    仲島  信
  • 巳の年は八回目なる年男
    山形 定房
  • 万蕾を率て白梅の一二輪
    黒澤三主寿

竹の子会 

  • 凍て返る母を訪ひたる帰り道
    苅野 玲子
  • 原稿の埋まらぬ日々や凍て返る
    渡辺 幸江
  • 咲き出して出窓はなやか君子蘭
    千葉ゆり子
  • タクシーの長蛇の列や凍て返る
    安達久美子
  • 葉も花もすべて大らか君子蘭
    苅野 節子

わかみどり会

  • にこやかに擦れ違ふ女春ショール
    清水 悠子
  • 錆ついて子を待つ遊具春浅し
    畑山 則子

ミモザ会

  • 手籠にも葉の香のうつり桜餠
    佐々木巴里
  • 小魚の影の素早さ水温む
    三国 紀子
  • 脇役は花にもありて霞草
    石橋万喜子
  • 石だたみ花びらいとし回り道
    池田 重子

6月号

一般投句

  • 岩壁にせり出す今年竹青し
    富所 敬子
  • 春コートまとひ白髪艶めけり
    戸田 徳子
  • 初夏や窓辺に富士のすっきりと
    瀧口 智子
  • めぐり来る五月三日の五月晴
    矢代アリサ
  • はるの空じんこうのたきおなじ青
    きりいのぞみ

向原喜楽会・不動会

  • 町中が雛で埋まる町おこし
    安藤 虎雄
  • 雪踏んで一軒一軒雛訪ね
    小澤孝ん子
  • 寺町のどこを抜けても梅真白
    柴崎 英子
  • ほろ酔ひて意気投合の花筵
    武井 康子
  • 花ミモザ遠目には黄のかたまりに
    飯田久美子
  • 彼岸会や戦死の弟十八歳
    久保田光江
  • 来年もお逢ひしたいと雛納む
    鈴木恵美子
  • 花ミモザ活けテーラーの飾り窓
    笹島美和子
  • かゝる間も時は過ぎゆく梅は散り
    廣門登喜子
  • 花に気をとられ躓きさうになる
    森崎 富貴
  • 駆ける子に母追ひつけず春の風
    吉田 新子
  • 青空を分け紅梅と白梅と
    川部 義明
  • 春一番街中の木々なびかせて
    佐々木 弘
  • 記念樹の一本選ぶ苗木市
    仲島  信
  • なつかしき母の筆あと雛箱
    黒澤三主寿

竹の子会 

  • 春雷に身を縮めたる雨宿り
    苅野 玲子
  • 春空ににらみを遺し團十郎
    渡辺 幸江
  • 願ひ事あまたかかえて伊勢参り
    千葉ゆり子
  • 和みけり京懐石に菜飯出て
    安達久美子
  • この頃の厳しさ飛ばす春一番
    苅野 節子

わかみどり会

  • 鍬入れに若葉の風や地鎮祭
    清水 悠子
  • あたたかや犬をこの子と呼ぶ会話
    畑山 則子

ミモザ会

  • 郭公の声を数へて露天風呂
    佐々木巴里
  • 藤棚の茂り四方より風通ふ
    三国 紀子
  • 雀斑の子の脚長き麦の秋
    石橋万喜子
  • 妖艶な藤の化身か玉三郎
    池田 重子

7月号

一般投句

  • センスよきマフラー届きし母の日に
    富所 敬子
  • 白靴履くなほ恋心抱きたく
    戸田 徳子
  • 青い空つばめを三羽みつけたよ
    森丘 裕子
  • こばん草風がゆらすよそよそよと
    きりいのぞみ

向原喜楽会・不動会

  • 戦争と平和を思ふ昭和の日
    安藤 虎雄
  • 迷はずに昭和の日と言ふ新時代
    小澤孝ん子
  • シャンソンはドラマチックよ花ミモザ
    柴崎 英子
  • 菜の花のびっしりと咲き野の静か
    武井 康子
  • 花杏うすくれなゐに村一つ
    飯田久美子
  • 戦争をはさんで生きて昭和の日
    久保田光江
  • 春光や癒えたる友の声はづむ
    鈴木恵美子
  • 藤棚を透かして七堂伽藍かな
    笹島美和子
  • 雨やんで葉桜光り振りこぼす
    廣門登喜子
  • 静けさや今宵満月朧なる
    森崎 富貴
  • 花疲熱きコーヒーほろ苦き
    吉田 新子
  • シクラメン鏡の中もシクラメン
    川部 義明
  • 葉蔭より身を乗り出せる八重椿
    佐々木 弘
  • 石佛に一枝の花供へけり
    仲島  信
  • 生り年と思ふ華やぎ花杏
    黒澤三主寿

竹の子会 

  • 山の家足を取られて春の土
    苅野 玲子
  • 「だんだん」と喋る自販機うららかや
    渡辺 幸江
  • 古草の古戦場跡静けさや
    千葉ゆり子
  • 古草やほったらかしの鉢の中
    安達久美子
  • 散りかけて散らずにをりぬ花並木
    苅野 節子

わかみどり会

  • 香水のほのかな人と擦れ違ふ
    清水 悠子
  • 蕗を煮るだけの大鍋捨てがたく
    畑山 則子

ミモザ会

  • 夏草や姉と遊びし千曲川
    佐々木巴里
  • 滴りの留まることを許されず
    三国 紀子
  • 鉄線の棘にもからみ浜昼顔
    石橋万喜子
  • 雨上がり濡れて色増す花しょうぶ
    池田 重子

8月号

一般投句

  • 新緑の古都の香りの孫みやげ
    富所 敬子
  • 雨そぼちなほ健気なる破れ傘
    戸田 徳子
  • 水車小屋背にして並び花菖蒲
    滝口 智子
  • 公園に遊ぶ子もなく梅雨に入る
    村田エイ子
  • むらさきのお花のかげにかたつむり
    森丘 裕子
  • スカートの色うすみどり夏はじめ
    きりいのぞみ

向原喜楽会・不動会

  • 新聞の兜かぶりて柏餠
    安藤 虎雄
  • いつまでも生きる気がする若葉風
    小澤孝ん子
  • 江戸っ子の遊びごころの祭足袋
    柴崎 英子
  • 水郷の嫁入り舟に風薫る
    武井 康子
  • 日本橋界隈に江戸若葉風
    飯田久美子
  • 少年の傷日毎癒ゆ若葉風
    久保田光江
  • 一寸の間セレブな気分ジャスミン咲く
    鈴木恵美子
  • 径狭め空を狭めて森若葉
    笹島美和子
  • 捨てられぬ細身のドレス更衣
    廣門登喜子
  • セルを着し母の姿を懐かしむ
    森崎 富貴
  • 歌舞伎座のxbI落としに更衣 吉田 新子
  • 夕風に泳ぎはじめし五月鯉
    川部 義明
  • 音信の途絶えし友か星朧
    佐々木 弘
  • 百年の欅は日除風を呼ぶ
    仲島  信
  • 奔流に挑めるカヌー峡薄暑
    黒澤三主寿

竹の子会

  • 香りより味わひ深き古茶であり
    苅野 玲子
  • 夫の彫る観音像や新樹光
    渡辺 幸江
  • 愛用の夫婦茶碗も古茶の色
    千葉ゆり子
  • 廃屋に覆ひ被さる新樹かな
    安達久美子
  • 芍薬を愛でて老師の庵かな
    苅野 節子

わかみどり会

  • 涼しさや母の形見のネックレス
    清水 悠子
  • 流木のほどよき椅子や夏の浜
    畑山 則子

ミモザ会

  • 夕映や木曾路みやげの釣忍
    佐々木巴里
  • 半夏生見事化粧を終えてをる
    三国 紀子
  • 星月夜浜辺に砂のピラミッド
    石橋万喜子
  • 虫干しで想ひ出さるゝ縞結城
    池田 重子

9月号

一般投句

  • 朝に咲き夕べに閉じる木槿かな
    富所 敬子
  • 赤富士や虚空染めゆく神の業
    戸田 徳子
  • まさかとは思ひをりしが熱中症
    滝口 智子
  • 遥かなる子等今いかに天の川
    村田エイ子
  • くさむらにほたるかがやくやみがある
    桐井 希海

向原喜楽会・不動会

  • 古傷が梅雨入り間近を教へけり
    安藤 虎雄
  • 十薬のさかり過ぎたるあわれさよ
    小澤孝ん子
  • 雨粒の大粒小粒走り梅雨
    柴崎 英子
  • ジャズの音流るゝ夜のアマリリス
    武井 康子
  • 十薬のお茶となる日を軒先に
    飯田久美子
  • 梅雨入りやヘリコプターの低き音
    久保田光江
  • 子鴉がとことこぴょんと歩きをり
    鈴木恵美子
  • 音なさぬ流れのありて糸とんぼ
    笹島美和子
  • 散策や新緑に来て深呼吸
    廣門登喜子
  • 目覚めては探す夜中の夏布団
    森崎 富貴
  • 万緑の谷底に在り平家村
    吉田 新子
  • あやめ舟乗ってみたいなかの人と
    川部 義明
  • 古寺の山門埋む七変化
    仲島  信
  • 着陸す青田のパッチワーク中
    黒澤三主寿

竹の子会

  • 一面のここは津軽路花りんご
    苅野 玲子
  • 名刹に風吹きわたり若楓
    渡辺 幸江
  • かっこうの声高らかに津軽富士
    千葉ゆり子
  • 楼門の朱を引き立てゝ若楓
    安達久美子
  • 葉桜を従へ聳ゆ弘前城
    苅野 節子

わかみどり会

  • 片蔭に野良猫達のたはむれて
    清水 悠子
  • 海からの風通る路地夕端居
    畑山 則子

ミモザ会

  • 帰宅まづ月下美人にむかへらる
    佐々木巴里
  • かばかりの田にも案山子の威厳かな
    三国 紀子
  • 手のひらに額に月かげ盆踊
    石橋万喜子
  • 想ふ人十六夜月に語りかけ
    池田 重子

10月号

一般投句

  • 簾越し白き花置く座敷かな
    富所 敬子
  • 夕闇の稲穂のうねり昂れり
    戸田 徳子
  • 秋光に姿まばゆき富士の山
    滝口 智子
  • 生きのびし戸惑ひもあり夏の雲
    村田エイ子
  • ひまわりの外はたいよう中は月
    桐井 希海

向原喜楽会・不動会

  • 顔かくし心も隠すサングラス
    安藤 虎雄
  • サングラスぺちゃ鼻すべり落ちにけり
    小澤孝ん子
  • 本日休診先生のサングラス
    柴崎 英子
  • すひ込まれさう万緑の湖しづか
    武井 康子
  • サングラスかけて口調の強くなる
    飯田久美子
  • フィリピンにも螢飛ぶ夜のありにけり
    久保田光江
  • 靴底もとけるが如き極暑かな
    鈴木恵美子
  • 通りぬけ許される路地釣忍
    笹島美和子
  • 朝顔や野にあれば花小さくて
    廣門登喜子
  • 江戸会館かっぽれ揃ひ浴衣着て
    森崎 富貴
  • 一院のおほかた散りぬ沙羅の花
    吉田 新子
  • まだ暗き森の奥より蝉しぐれ
    川部 義明
  • 緞帳のこざっぱりとし夏芝居
    仲島 信
  • サングラス外して道をたづねけり
    黒澤三主寿

竹の子会

  • 白靴を出してはみしが雨模様
    苅野 玲子
  • 馬の足跣の目立つ村芝居
    渡辺 幸江
  • ままごとにいとも小さき桜の実
    千葉ゆり子
  • バスを待つ列片陰に移りけり
    安達久美子
  • 赤み増す葉擦れの中の桜の実
    苅野 節子

わかみどり会

  • 張替へし網戸の内の笑ひ声
    清水 悠子
  • 手花火の匂へる路地を通りけり
    畑山 則子

ミモザ会

  • 駅からは夜道となりて虫の越え
    佐々木巴里
  • 風音に攫はれつつも虫鳴けり
    三国 紀子
  • 桔梗活く白磁の艶を掌につつみ
    石橋万喜子

11月号

一般投句

  • オリンピック招致猛暑のご褒美か
    富所 敬子
  • 明け暮れの風のかそけし秋の情
    戸田 徳子
  • かぞく五人ばん夏の旅の大阪城
    桐井 希海

向原喜楽会・不動会

  • 一仕事終り一服夏深し
    安藤 虎雄
  • 盆詣同窓会へ流れけり
    小澤孝ん子
  • 踏まれゆく砂のトンネル海晩夏
    柴崎 英子
  • 方言のやたら飛び出す盆がへり
    武井 康子
  • 忘れある晩夏の浜のゴム草履
    飯田久美子
  • すさまじき雷雨車道を河となす
    鈴木恵美子
  • 膝の上大きく占めて夏帽子
    笹島美和子
  • 土つけて探りとりたる花茗荷
    廣門登喜子
  • 夏休み教はりながらお手伝ひ
    森崎 富貴
  • 星祭麻布の坂に大使館
    吉田 新子
  • 盆詣兄に供へし一句かな
    川部 義明
  • 赤とんぼ朝の運河を染めにけり
    仲島 信
  • 職退きて朝顔の世話係かな
    黒澤三主寿

竹の子会

  • 庭隅に咲きあふれたる凌霄花
    苅野 玲子
  • 早起きすうさぎ当番夏休
    渡辺 幸江
  • 凌霄の花の先まで勢ひあり
    千葉ゆり子
  • 電線に届く焔や凌霄花
    安達久美子
  • 凌霄の花房ゆれる曲り角
    苅野 節子

わかみどり会

  • 野良猫に餌をやる闇や虫の声
    清水 悠子
  • 短夜や眼鏡をかけしまゝ眠り
    畑山 則子

ミモザ会

  • まだ蕾ある枯菊を括りけり
    佐々木巴里
  • 青きまゝ落ちて木の実のはづみけり
    三国 紀子
  • 波音のとどかぬところ返り花
    石橋万喜子

12月号

一般投句

  • 運動会ガッツポーズに笑み返し
    富所 敬子
  • 大和路の風のまろさや吊し柿
    戸田 徳子
  • さらさらと高原の風秋桜
    桐井 希海

向原喜楽会・不動会

  • 子どもらは萩のトンネル汽車ごっこ
    安藤 虎雄
  • 雨月空東儀の笛の渡りゆく
    小澤孝ん子
  • 藤袴群れて寂しや古戦場
    柴崎 英子
  • 川風にゆられし色の藤袴
    武井 康子
  • 藤袴剪りて抱きし香りごと
    飯田久美子
  • デンバーの和食の店も茸汁
    久保田光江
  • 嵐去る下界を照らす月明り
    鈴木恵美子
  • 萩括ることより庭の手入れかな
    笹島美和子
  • 思い出のかの日あの時月見船
    廣門登喜子
  • 灼熱の一日を終る葉鶏頭
    森崎 富貴
  • 名月を見よと人呼ぶ二階より
    吉田 新子
  • 月光の届かぬ先の祠かな
    川部 義明
  • 名月やここは伊達藩屋敷跡
    仲島 信
  • 思ひきり紫陽花を剪り秋を待つ
    藤田 静枝
  • 制服にワンポイントの赤い羽根
    黒澤三主寿

竹の子会

  • 田の色を変へて出揃ふ稲穂かな
    苅野 玲子
  • 山住みのお茶っこタイム葛の花
    渡辺 幸江
  • 合唱す子供等の声蝉の声
    千葉ゆり子
  • 爽やかな風朝礼の列を縫ひ
    安達久美子
  • どの駅もカンナの咲いてゐた昔
    苅野 節子

わかみどり会

  • 旧館を覆ひ尽して蔦紅葉
    清水 悠子
  • 返事すぐ書きたき便り秋の夜半
    畑山 則子

ミモザ会

  • 冬耕といへどわが家のハーブ畑
    佐々木巴里
  • ほころぶは一花お会式桜かな
    三国 紀子
  • 葉脈の武骨にのこる朴落葉
    石橋万喜子