ひもんやだよりWEB版
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ひもんや内科消化器科診療所
〒152-003 目黒区碑文谷2丁目6-24
TEL.03‐5704‐0810

ひもんや俳壇平成二十八年度

2017年1月号

平成二十八年度

ひもんや俳壇賞

黒澤三主寿 選
※「ミモザ会」は特別作品として選外とさせていただきました

大賞

  • 待ちかねて波へ突進海開
    千葉ゆり子
    海水浴場開きである。ながながとひと夏の安全を祈る行事が終わると見るや、子供たちはわれ先にと波へ突進した。突進という言葉がいきいきとその情景を伝えている。句に勢いがあり共感を得られる佳句である。

次席

  • 春めくや田に人影とトラクター
    仲島  信
    広々と拡がる田圃が息を吹きかえしたのである。長かった冬の間、何もなかったところに今、人影とトラクターがある。荒越しを始めたのか。まさに春めく景色である。
  • 採りもせず盗まれもせず柿たわゝ
    吉田 新子
    時代は変わった。昔はどの家にも柿の木の一、二本はあってよろこんで食べたものである。柿泥棒も居た。採りもせず、盗まれもせずと反対語を使い、飽食の時代を巧みに詠んだ句となった。

ひもんや診療所・院長賞

  • 初嵐女性都知事の誕生す
    渡辺 幸江
    昨年七月末に行われた都知事選。圧倒的勝利で史上初の女性都知事が誕生した。まもなくやってくる野分を予感させるような「初嵐」という季語がまさにぴったりの面白い句である。

秀作

  • 子供の日孫のタッチに力負け
    富所 敬子
  • おでん鍋まず大根にのびる箸
    鈴木恵美子
  • 駅前の往き交ふ人のみなマスク
    川部 義明
  • 一人居は気遣ひもなく着ぶくれて
    藤田 静枝
  • 飛び石のくぼみ〳〵の薄氷
    譲原 節子
  • 山積みの捨てよか迷ふ古日記
    市川須美子
  • 汗の子を汗の母より受け取りぬ
    石井 昭子

佳作

  • 面影の父かも知れぬ秋の蝶
    滝口 智子
  • 遠き日の祖母との暮らし蕎麦の花
    畑山 則子
  • 大夕立去りて土の香立ちのぼり
    戸上 和
  • 爺々と呼ばれうれしや初電話
    安藤 虎雄
  • 紅梅の香りやさしき路地に住む
    小針カツ子
  • 着信も留守電もなし秋の暮
    廣門登喜子
  • 椀だねは花麩さわらび祝膳
    鈴木 ゆり
  • 豆撒きもして賑はひの旅の宿
    中村 常子
  • 空に海写したるごと鰯雲
    苅野 玲子
  • ワンテンポ遅れる父の踊りやう
    安達久美子
  • テレビ消し除夜の鐘聴くひとりかな
    苅野 節子
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