ひもんやだよりWEB版
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ひもんや内科消化器科診療所
〒152-003 目黒区碑文谷2丁目6-24
TEL.03‐5704‐0810

ひもんや俳壇平成二十六年度

2015年1月号

平成二十六年度

ひもんや俳壇賞

黒澤三主寿 選
※「ミモザ会」は特別作品として選外とさせていただきました

大賞

  • 鳥帰る被災の人も帰りたし
    久保田光江
    東日本大震災から間もなく四年。掛替えのない故郷を離れ、いまだに仮設住宅での生活を余儀なくされていられるたくさんの方々。春になって鳥は北方へ帰って行くのにと思いひとしおの作者のやさしさが伝わってきます。

次席

  • 四半世紀経て平成の年新た
    飯田久美子
    新しい年を迎えての句である。年号が平成に変わって、今年は二十六年。あっと言う間に四半世紀が過ぎたことに、感慨無量のお正月となった。
  • 台風や父の足音待ちし日も
    中村 常子
    激しい台風の夜、家族で心配しながら父の帰りを待っていたあの頃。卓袱台を囲んでいた、懐かしい昭和の時代が目に浮かんでくる句。

ひもんや診療所・院長賞

  • 草餠の皮の厚めも亡母の味
    富所 敬子
    昔は何でも手作りだった。草餠も母のは皮も厚めで、少しいびつ。そしてそれが何とも言えぬ母の味なのだ。今ではそれが懐かしい。

秀作

  • 猛暑にも負けず米寿を迎へけり
    安藤 虎雄
  • 譲られし席のぬくもり梅雨の旅
    鈴木恵美子
  • 駅の名の変り戸惑ふ業平忌
    吉田 新子
  • 手花火の玉のとろりと落ちにけり
    石井 昭子
  • 剪定の鋏の音に迷ひなし
    苅野 節子

佳作

  • 色鳥にしばし掃く手を休ませて
    戸田 徳子
  • 秋深し古きアルバムまた繰りて
    畔柳 葉子
  • 満開の花のトンネル雨こぼす
    滝口 智子
  • 物足らぬ風にすねてか鯉幟
    新田はるゑ
  • 真冬には花が少なくさみしいな
    森丘 裕子
  • かんさつ日記くいしんぼうの夏蚕飼ふ
    きりいのぞみ
  • ふんわりとねぎらふごとく春の雪
    畑山 則子
  • 宇宙よりお年賀のやう初日の出
    小澤孝ん子
  • 赤門の朱のきはだつ夏木立
    柴崎 英子
  • 朧月語り尽くせぬまゝ別れ
    廣門登喜子
  • 初電話華やぐ部屋の声届く
    森崎 富貴
  • 蝶の来て庭の広さを計りけり
    佐々木 弘
  • 若き日の大志はいづこ秋立ちぬ
    川部 義明
  • 木の芽吹き産着に覗くややの指
    仲島 信
  • 子雀の声を消したる俄雨
    藤田 静枝
  • 頬叩く春一番と思ひけり
    滝口ふじ子
  • 真新しい制服に花吹雪かな
    服部嘉奈子
  • 炎天の影曳き急ぐ乳母車
    市川須美子
  • 外灯のはや灯りたる秋夕べ
    譲原 節子
  • はらはらと渓に呑まれて散紅葉
    苅野 玲子
  • 隙間風小言までもが割り込んで
    渡辺 幸江
  • 道沿ひにゼブラ模様の残り雪
    千葉ゆり子
  • 善と悪鬩ぎ合ひして大ねぷた
    安達久美子
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