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2012年9月号掲載記事

食道がんのリスクをチェックしてみましょう

有名人の食道がんに関する報道の影響からか、当院でも食道がんを心配されて受診される方が増えています。

食道がんの初期の症状は、のどのつかえ感や違和感ですが、これは食道がんに限った症状ではなく、また早期の食道がんではほとんど症状がないことも多いため、自覚症状から早期発見することは困難です。

また食道がんは胃がんや大腸がんと比べて進行が早く、がんが周囲に広がりやすく、リンパ節転移もしやすいため、難治性のがんといえます。

食道がんのリスク

食道がんは女性に比べ、圧倒的に男性に多く、罹患率も死亡率も男性が女性の5倍です。

生活習慣では、飲酒と喫煙が食道がんの最大のリスクです。愛知がんセンターの調査によると、発がんリスクは、1日1.5合以上の飲酒で8.2倍、一日20本×30年相当の喫煙歴で3.9倍、両方だと約30倍のリスクになります。

お酒にふくまれるエタノールは、体内で分解されてアセトアルデヒドとなります。アセトアルデヒドには発がん作用があるため、食道が長期間高濃度のアセトアルデヒトにさらされると食道がんになりやすくなります。

アセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)によって、炭酸ガスと水に分解されて、無毒化されますが、ALDH2が先天的に少ない人は、アセトアルデヒドがたまりやすく、食道がんのリスクが高いといえます。

飲酒によって顔が赤くなるのはアセトアルデヒドによる作用ですので、少量の飲酒で顔が赤くなる(または若いことは赤くなった)人は、ALDH2が先天的に少ない、アセトアルデヒドがたまりやすい体質です。このような人で、以前飲めなかったお酒が飲めるようになり、毎日大量の飲酒する習慣を続けると、アセトアルデヒドがたまり、食道がんになりやすくなります。

日本人の30〜40%の人が、ALDH2が少ない体質といわれています。(図)

あなたの食道がんのリスクを自己診断してみましょう

食道がんを早期に発見するには

胃の内視鏡検査の際に、食道も観察するので、まずは胃の内視鏡検査をしっかり受けることが大切です。レントゲン検査では、バリウムは食道をすぐに通過してしまうため、食道の表面にできた早期がんを発見するのは困難です。

食道がんのリスクスコアが11点以上の方は、症状にかかわらず、定期的に内視鏡検査を受けることをおすすめいたします。