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2011年12月号掲載記事

もしかして、男性更年期?

男性にも、男性ホルモンの低下による更年期障害があります

男性更年期の症状は、つかれやすい、気力が出ない、抑うつ気分、情緒不安定、集中力の低下、不眠などの神経症状、ほてり感、冷え感、発汗過多、慢性頭痛や肩こりといった自律神経失調症状、尿意切迫感、性欲減退、勃起力低下といった泌尿器症状など、女性の更年期障害と同様に、多彩な症状がみられます。

男性ホルモン(テストステロン)は、加齢により低下しますが、個人差が大きく、年齢以外に身体的・精神的ストレスの影響も受けやすく、また女性の閉経のような明らかな兆候がないため、男性更年期障害は診断がつきにくいのです。うつや不安神経症と診断されいる男性の患者さんの中に、実は男性更年期障害の患者さんが隠れている可能性があります。

 

次の『男性更年期障害チェック』でチェックしてみましょう。

【男性更年期障害チェック】
Q1.性欲の低下がありますか?
Q2.元気がなくなってきましたか?
Q3.体力あるいは持続力の低下がありますか?
Q4.身長が低くなりましたか?
Q5.日々の愉しみが少なくなったと感じていますか?
Q6.物悲しい気分になったり、怒りっぽいですか?
Q7.勃起力は弱くなりましたか?
Q8.最近、運動する能力が低下したと感じていますか?
Q9.夕食後うたた寝をすることがありますか?
Q10.最近、仕事の能力が低下したと感じていますか?

『男性更年期障害チェック』の結果、Q1.あるいは Q2.が「はい」の場合、または残りの8問中3問が「はい」の場合男性更年期障害の可能性が高いといえます。

男性更年期の診断

男性更年期は、血液中の男性ホルモン(テストステロン)を測定して診断します。血中フリーテストステロン値が8.5pg/ml以下であれば、ホルモン治療の対象となる男性更年期障害と診断します。男性ホルモンはいつでも検査できますが、ホルモン値は午前中に高くなるので、できるだけ午前中に採血することをお勧めします。

男性更年期の治療

当院の男性更年期障害の治療は、男性ホルモン補充療法、漢方薬、抗うつ剤、自律神経調整薬、ED薬(バイアグラ、レビトラ、シアリス:自費1500円〜2500円/1錠)などを組み合わせて行なっています。

男性ホルモン補充療法は、テストステロン注射を2〜4週に1回注射します。3回ぐらい注射してみて、症状の改善のある患者さんには注射を続けます。テストステロン注射はゆっくり効果を発揮するので、毎日打つ必要はありません。テストステロン軟膏(自費4000円/1本10g)を1回3g、1日 1〜2回塗る治療法もあります。

男性ホルモン補充療法は、前立腺がんを悪化させる可能性があるので、治療を始める前に、必ず採血による前立腺がん検査を受けていただきます。また睡眠時無呼吸症候群の方、心臓病などでワーファリン治療を受けている方は、副作用が出やすいので、補充療法は行なえません。

男性更年期障害の診断、治療をご希望の方は、ご遠慮なくご相談ください。テストステロン注射は診察室で行ない、自費のED薬、テストステロン軟膏も、診察室で直接お渡ししますので、ご安心ください。