医療情報
2010年1月号掲載記事
「咳の漢方治療」
咳は、痰を伴う湿性咳嗽と、痰を伴わない乾性咳嗽の2種類に大別されます。
湿性咳嗽は、気道内の粘液分泌が亢進していることを示します。慢性の気管支炎や気管支拡張症、気管支喘息、肺炎、結核などが疑われます。
乾性咳嗽は、コンコンという「から咳」で、風邪の初期や急性気管支炎の他、精神的なもの、薬剤によるもの、異物やガスなどの刺激、間質性肺炎、肺線維症などが考えられます。
咳の原因となる病気の治療をまず優先します。咳は体力を消耗するので、なるべく安静を保ち、暖かく適度な湿気のある部屋で過ごしたり、水分をとるようにする、といった生活上の注意も大切です。
咳に使われる漢方薬
咳と痰だけでなく、発熱や精神面などの全身的な状態を診て、処方を決めていきます。咳に使われる漢方薬を紹介します。
- 麻杏甘石湯
口渇があり、激しい咳、急性期の咳
- 麦門冬湯
気道が過敏状態になった慢性の乾性咳嗽、風邪のあとの残った咳
- 滋陰降火湯
皮膚も乾燥しているお年寄りの激しい乾性咳嗽
夜、布団に入ってしばらくして出る咳
- 清肺湯
痰の出るまで続く激しい湿性咳嗽(粘性・黄色の痰)
咳のために声がかすれたり、喉が痛んだりする
- 竹・温胆湯
咳のために夜眠れない、湿性咳嗽(粘性・黄色の痰)
安眠できず、気分がすっきりしない
- 小青竜湯
水っぽい痰が出る湿性咳嗽(白色の痰)
鼻かぜっぽくなっている
- 半夏厚朴湯
喉になにかつまった感じ(異物感)がある咳
- 柴陥湯
胸にひびくような咳
強い咳のあまり息苦しい