医療情報
2008年05月号掲載記事
湿布剤の特徴と使い方
湿布剤の特徴・特色
- 皮膚密着性が良い
有効成分の皮膚吸収を高めます。
- 水分を多く含んでいる
基剤中の水分が蒸発するとき皮膚から熱を奪うが、この蒸発熱量が清涼感を与えます。また、角質層が内部から蒸散してくる水分子によって水和され、薬物の吸収が促進されます。
- はがす時に痛くなく、汚れがのこらない
- べとつかない
- 投与量が定量的にコントロールできる
- 胃腸障害や全身性副作用がほとんどない
- 炎症部位に直接投与でき、的確な鎮痛・消炎作用が期待できる
- 投薬管理が簡便
冷感・温感タイプの使い分け
- 冷感タイプ薬剤の性質
- 冷やすことにより、皮膚血管を収縮して血行を緩徐とし、赤く腫れたり、熱をもった状態の炎症を鎮め、痛みを抑えます。即効性があり、冷却効果が強く急性期に有効です。
- 温感タイプ薬剤の性質
- 温めることにより、皮膚血管を拡張して血行をよくし、炎症および疼痛を緩和します。慢性の痛みに効果があります。
病気・症状 | 使い分け | 注意事項 |
---|---|---|
ねんざ | 冷やす | 腫れがひくまで冷やす |
打撲 | はじめは冷やし、その後、温める | 2〜3日間冷やす外傷がある時は、傷の処置をしてから周囲を冷やす |
腰痛 | 温める | 入浴も有効 |
関節リウマチ・神経痛・肩こり | 温める | 入浴も有効 |
腹痛 | 温める | ただし、虫垂炎の疑いがある時は温めるのは禁物 |
骨折 | どちらも禁物 | 骨折の治療が優先 |
当院では、冷感タイプ、温感タイプのなかでも温感の強いものを症状に応じて処方しています。
また形状では薄いシートタイプのものや、貼りやすい小さいもの、1枚で腰全体に貼れる大きなもの、
また長時間作用し一日1回の貼付でよいものや、においのないタイプなど、各種の剤形を揃えていますので、診察時に、ご希望をおっしゃってください。