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2007年9月号掲載記事

糖尿病神経障害を知っていますか?

現在、日本の糖尿病患者は推定800万人です。

糖尿病が怖いのは合併症が進行することで、そのなかでも、糖尿病性神経障害は早くから、高頻度に現れます。

初期には足がしびれる、痛い、夜間に足がつるなどの症状が出てきますが、放っておくと、足に潰瘍ができたり、ひどい場合だと足を切断しなければならなくなります。

日本では糖尿病が原因で足を切断する患者さんが年間約3000人います。

神経障害は、高血糖が続くことによって、徐々に進行していきます

神経障害になると長い神経の末端からゆっくりと壊れ始め、足先がジンジン、ピリピリしびれたり、痛くなったりします。 砂利の上を歩いているような感じや、足の裏に紙がはりついたら感じがしたり、こむら返りを起こすことがあります。

特に気をつけなくてはいけないのは、神経障害が進行して神経が壊れ、足の感覚がなくなることです。例えば、ちょっとした靴ずれや、やけどに気づかず、傷が悪化して、足が腐った状態(壊そ)になり(Fig.2)、最後には足を切断しなければならない場合があります。また心臓の神経も壊れて働かなくなることから、 心筋梗塞になっても分からず、突然死を起こすこともあります。

糖尿病になった時点で糖尿病性神経障害は進んでいます

来院時の血糖値やヘモグロビンA1cの値がうまくコントロールできているにもかかわらず、知らないうちに神経障害が進んでいることもあります。

糖尿病の治療(血糖コントロール)に加えて早い時期から糖尿病神経障害の発症、進展を抑制する必要があります。

当院では糖尿病性神経症の患者さんに対して、血糖をコントロールする薬とともに、足先のしびれ感、痛みを和らげる飲み薬(アルドース還元酵素阻害剤)を併用しています。

最近の臨床試験の結果、アルドース還元酵素阻害剤を長期に服用することによって、神経障害の進行を抑える効果があることが明らかになりました。当院では神経障害が軽度のうちに、この薬を服薬することをお勧めしています

糖尿病神経障害を診断する簡単な検査法

アキレス腱を叩いて、神経の反応をみる検査です。

反応がにぶかったり、反応がない場合には神経が脱落している可能性があります。

診察室ですぐ実施できる簡単な検査で、費用もかかりません。

糖尿病や、糖尿病が疑われる方は、半年に1度は受けてください。