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2007年9月号掲載記事

体験レポート
経鼻内視鏡検査を受けました

最近食事の量が減り、体重も減ってきていたのです。また昨年に三十代の友人が胃がんの手術を受けています。同年代なので心配になり、内視鏡検査を受けることにしました。

看護師さんに奥の検査室に案内されました。内視鏡検査の前に、胃の粘膜をきれいにするためにということで、コップ半分ほどの水で溶いた薬を飲み、ベッドに横になって待ちました。検査は、診察の合間にしてくださると聞いていたので、読みかけの文庫本を持って行き、のんびり本を読んでいました。診療所へ来る前は、かなり緊張していて、なぜ内視鏡の検査を受けるなんて決めてしまったんだろうとくよくよ考えていたのですが、看護師さんのてきぱきとした指示通りにしていると、不思議と不安な気持ちは消えていました。

検査前の処置

Dr.(医師の説明)「鼻の血管を収縮させて、通りをよくするスプレーをします。のどに落ちてきてにがいときには吐き出してしまってください。次いで鼻腔の麻酔をします。5分ぐらいで鼻の中がしびれたような感じになったら、検査を開始します。検査前の処置はこれだけです。」

しばらくして、先生が入ってきて、鼻の麻酔の前に、鼻の通りをよくする液体の薬を鼻にスプレーしました。また少ししてから、いよいよ鼻の奥の麻酔です。これは、ゼリー状のもので、鼻の奥でとどまる感じです。出すときは、口から出してくださいと言われ、鼻の奥からのどを通って、口に流れてきたところを、はき出しました。鼻の奥にあるときは、何の違和感もなかったのですが、口に入ると確かに歯医者さんで経験した麻酔と同じ感覚がしました。

経鼻内視鏡はこんなに細い

Dr.「経鼻内視鏡の太さは直径5.9ミリで、太いうどんやパスタと同じくらいです。口からの内視鏡とくらべて見ると、ずいぶん細いことがおわかりいただけるとおもいます」

5.9ミリというのは、私の小指の先程度で、このくらいなら、さほどストレスなく、入っていきそうと思える太さです。

鼻から内視鏡が入ります

Dr.「通りのいいほうの鼻から内視鏡がはいります。鼻が狭い方は少し出血することがありますが、心配いりません。鼻の中を通過するときは少し痛いかもしれませんが、のどまで到達すると、痛みは軽くなります。のどに内視鏡が来たら、軽く飲み込んでください」

黒くて細い管の先には、小さなライトが付いていて、すでにカメラも作動しているらしく、モニター画面も映っています。いよいよ、鼻から管が入ります。最初、右に入れましたが、通りが悪かったらしく、左に入れ直し。今度は、何とか管が進んでいきました。少し鼻腔が狭いとのこと。モニターには、鼻の穴、鼻の奥が映し出され、のどまできたときに、飲み込んでくださいと言われ、こくんと飲み込むと、簡単に入っていきました。

検査中はモニターを一緒にみながら、会話もできます

Dr.「食道から、胃、十二指腸の奥まで観察しています。モニター画面を一緒にごらんになってください。ご不安なことがあればご質問ください。経鼻内視鏡は検査中でも会話ができます」

鼻からの内視鏡だから、会話もできますと言われても、なかなかしゃべれるものではありません。先生の説明を聞きながらモニター画面を見ていると、食道、胃とカメラが入っていくのが感じ取れます。痛みや違和感は、感じませんでした。一番奥までカメラが進んでから、胃・食道と戻りながら観察するようです。検査中に「大きな異常はない」というような説明をしてもらいましたが、よくわかりませんでした。時間にすると、たいしたことはないのでしょうが、カメラが食道・のど・鼻の奥まで戻ってくると、ほっとします。

私は鼻が細いらしく、鼻の奥の方で出血したようで、検査後鼻の奥に少し血がたまっていて、鼻をかむと鼻水に血が混じっていました。

検査のあと、診察室で結果の説明をしてくださるということで、ベッドから起き上がって待合室に向かいました。ふらつくことなく、いつもどおりに歩けました。鼻からの内視鏡は鎮静剤を使わないので、検査後すぐに食事をとったり、自分で車を運転して帰ることも可能だそうです。

検査終了後、結果の説明

Dr.「がんや潰瘍など、大きな異常はありませんでした。胃粘膜の萎縮が若干ありますが、年齢相応です。」

年齢相応って、加齢ってことか・・・。萎縮がある場合は、ピロリ菌の検査をしておいた方が安心ということで、早速ピロリ菌の検査もしてもらいました。ピロリ菌検査は試薬を飲む前と、飲んだあとの2回、息を風船にためるだけで、30分ほどの簡単な検査でした。結果は2〜3日でわかるそうです。説明のあと、胃の中の写真(4カット映ったもの)をいただきました。

後日、ピロリ菌検査も陰性ということもわかりました。ピロリ菌感染がなければ将来胃がんになる可能性は少ないと知り、安心しました。

済んでしまえば、たいしたことはないなあ、という感じです。こんなに簡単に胃の中の様子が検査できるのですから、胃に異変を感じたら、悩んでいるよりも、すぐに経鼻内視鏡で検査を受けてみることをおすすめします。

当院の内視鏡の洗浄と消毒について

内視鏡検査による院内感染は、検査後の器具の洗浄や消毒が不十分であるために起こります。当院では粘液や血液を溶かす蛋白分解酵素の入った専用洗剤を使って、内部まで洗浄した後に、自動洗浄消毒機で1時間の消毒を行っています。消毒液はグルタラール液を使っています。グルタラール液に10分浸透すると、ほとんどの細菌、ウイルスは死滅します。またマウスピースや組織検査用のワイヤーなど、患者さんに直接触れる器具は、グルタラール液に浸透後、オートクレーブで高温殺菌しています。