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2007年4月号掲載記事

うつ

「うつ」は決して珍しい病気ではなく、誰もがなりうる病気です

うつとは何でしょう

人は誰でも悲しいことや失敗を体験すると、落ち込んだり憂うつになりますが、多くは時間がたてば元に戻ります。ところが、落ち込んだ気分が長く続き、生活に支障がでる場合を「うつ」といいます。

うつになりやすいタイプ

  • 仕事熱心、きまじめ、几帳面、物事に徹底的にこだわるひと。
  • 世間の秩序を守り、常識を大切にし、いつも他人に気を使う人。

注)このようなタイプな人が全てうつになるというわけではありません。

うつの症状〜不眠はうつの初期症状です〜

  • 気分の症状:気分が落ち込む。自信がなくなる。
  • 思考の症状:集中力、判断力の低下。悲観的になる。
  • 意欲の症状:気力がなくなる。おっくうになる。楽しいと感じられずに興味がわかなくなる
  • 身体の症状:不眠、食欲低下、だるい、肩こり、頭が重い、胃の不快感、便秘、性欲低下

うつは、早期に発見することが大切です。うつのサインが出ていないか、この1週間のことについてご自身の心と体の状態をCheck1のチェックシートでチェックしてみてください。

チェックシートの結果はいかがでしたか?「はい」の数が多いほどうつの可能性が高いのですが、診断には更に詳細な問診が必要です。春先には、うつの症状がでやすいので、ご心配な方は一度ご相談にいらしてください。

うつの治療には「抗うつ薬」を使います

当院ではSSRI(パキシル、デプロメール)、SNRI(トレドミン)と呼ばれる、副作用の少ない新しい抗うつ薬を中心に処方しております。

「抗うつ薬」は乱れた神経のバランスをもとに戻して、落ち込んだ気分を改善し意欲を高めるはたらきがあります。特にSSRIはセロトニンの神経バランスを、SNRIはセロトニンとノルアドレナリンの神経バランスを整える作用があります。セロトニンには緊張過敏、不安、イライラ感、ノルアドレナリンには無気力、興味の喪失に関与している神経です。患者さんの症状によって使い分けます。

やっぱり心配、薬の副作用??

のみはじめた頃には気持ちが悪くなったり、吐き気を感じたり、あるいは頭痛などが起きることがありますが、SSRI、SNRIは、副作用は昔の薬に比べるとかなり軽減されています。

一般的に抗うつ薬は効果が出るまでに2週間ほどかかります。

最初は「効果が出ないのに、副作用ばかり出る。」と思われる方もいらっしゃいますが、これらの副作用は時間とともに軽減し、徐々に薬の効果が得られる患者さんが多いのです。

うつとのつきあい方、治し方

  • うつは必ず治ることを信じましょう。
  • お薬はきちんと飲みましょう。症状がなくなっても再発を防ぐために しばらくは飲み続けることが大切です。症状に応じて薬の量を減らしていき、もちろん最終的には薬を飲まなくなることも可能です。
  • 心と身体をゆっくり休ませましょう。中途半端な休養ではなく、仕事や家の中の雑事から離れてのんびりします。
  • うつの間は、重大な決定をすることはなるべく避けましょう。「退職する」、「学校をやめる」、「離婚する」などの決定は先に延ばしましょう。
  • 辛いからといって、お酒に逃げるのはやめましょう。

最後に・・・・

うつは必ず治る病気です。特別な病気ではなく誰でもかかりうる病気です。少しでも心配なことがあれば、お気軽にご相談ください。お一人、お一人に合った治療法をご用意・ご提案して参ります。