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2006年7月号掲載記事

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を予防しましょう

骨粗鬆症とは?

「骨粗鬆症」の“粗”という字は「粗いという意味を、“鬆”という字は「大根にスが入る」の“ス”という意味を表しています。つまり「骨粗鬆症」とは、その名の通り骨が粗くなって“ス”が入りスカスカになるため、骨が弱くなり骨折しやすくなったり慢性の腰痛を訴えるようになる病気です。(Fig.1)

骨は、一見何も変化していないようにみえますが、実は常に壊され新しい骨に置き換わっています。骨が壊されることを「骨吸収」、骨が作られることを「骨形成」といいます。若いうちは骨吸収と骨形成のバランスが保たれていますが、骨粗鬆症になると、骨吸収>骨形成となり、骨が弱くなり骨折しやすくなってしまします。日本の寝たきりの原因は、第1位が脳血管疾患ですが、第2位が骨粗鬆症による骨折です。骨折による寝たきりにならないためにも、気になったらすぐに病医院に受診し、早期診断・早期治療が大切です。

骨粗鬆症になりやすい人

骨粗鬆症は女性に多い疾患といわれています。これは、閉経を迎えた女性では骨形成を助ける働きを持つ女性ホルモンが少なくなるためです。ほかにも、高齢者、カルシウム不足、運動不足、ステロイド剤を飲んでいる、過度のダイエットなどが危険因子といわれています。(Fig.2)

骨粗鬆症の検査

骨粗鬆症を診断するには、X線検査や骨量測定、血液/尿検査などがあります。自覚症状がなくても骨量が減少していることがあるので、症状がある場合はもちろん、ない人も積極的に検査を受けましょう。検査での痛みはほとんどありません。(Fig.3)

日常生活の3原則

  1. カルシウムを十分に取る
  2. 軽い運動を継続的に行う
  3. 日光にあたる

この3原則を心がければ、かなり予防することができます。また転倒を防ぐために、階段に手すりをつける、歩きやすい靴を履くなどの工夫も有効です。

薬物治療

骨粗鬆症に治療は、上の3原則が基本です。しかし、骨折の危険が大きい場合には、薬による治療もあわせて行います。(Fig.4)

現在推奨されている第一選択薬は、アクトネル・フォサマック・ボナロンです。中でもアクトネルは作用が早く、副作用も少ないようです。フォサマックなども患者さんに合わせて使用します。

エビスタは最も新しい薬で、女性ホルモンの補充に使います。

骨形成が低下した方には、グラケーを併用することがあります。

食事からビタミンDを取れない人や日光にあたれない人は、アルファロールが有用です。

どの薬剤も骨粗鬆症に対し、しっかりとしたデータを持っています。患者さんの病態に合わせて、最良の薬剤を選択します。