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2006年6月号掲載記事

味覚障害と亜鉛

生命の元素 亜鉛

地球には、およそ100種類という数多くの元素が存在しています。

それらは、構造も、働きもさまざまです。その中で、微生物をはじめ植物や動物さらにはヒトが生きていくために、必須の元素があります。亜鉛です。

亜鉛は、私たち人間のからだにも微量ながら含まれており、鉄や銅などとともに、生体内必須微量元素と呼ばれます。酵素の成分や蛋白質の合成、味覚への関与、インスリンの生成や機能への関与、また免疫能の賦活や生殖機能そのものなどに重要な役割を果たす亜鉛は、その欠乏によって、ちょっとした異常や病気を引き起こすことが知られています。(Fig.2)

感覚器に対する作用

亜鉛は、舌の味蕾を形成する成分のひとつで、唾液にも含まれています。最近味覚障害が注目されていますが、これは亜鉛不足により唾液中の亜鉛含有量の低下と味蕾の形態的変化が原因となっていることが多いと考えられています。

亜鉛は、味覚・嗅覚など感覚機能にとっても重要です。そのほか、亜鉛欠乏症として、味覚異常に伴う食欲不振などがよくみられます。

アメリカFDAでは成人に必要な亜鉛は1日約15mgとしています。しかし食品として摂った亜鉛が、すべて身体に吸収されるわけではないので、毎日15mg以上の亜鉛を効率よくとる必要があります

亜鉛は、私たちの体内で作ることはできません。いろいろな食品から摂取することが必要です。それも、自然食品からとることが理想的です。レトルト食品やインスタント食品ばかり食べているのでは、どうしても不足してきます。

各食品の100g中の亜鉛含有量はFig.3の通りです。

これを食事から摂るとなると・・・。

例えばカキなら、100g中に70mgもの亜鉛が含まれており、1個が約10gなので2個食べれば14mg、3個食べれば21mgもの亜鉛が摂取できることになります。

最近はサプリメントなどからも亜鉛を摂取することができますが、亜鉛を含有しているお薬を当院ではご用意しております。味覚障害のある方は、受診の上、ご相談ください。